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工学的思いやりの心

何か,ものを設計するか,分析するときには,「思いやりの心」を持つようにしてみてください.
もの,というのは少々わかりにくいので,システムと呼ぶことにしましょう.そのシステムを動かすために,周囲にどんな種類の人がいるのかを,まず,可能な限り見つけます.
Webサービスを作ろうとするなら…利用者(ユーザ)は必ずいますね.一般ユーザと別に,管理者もいます.また,IDとパスワードを使ってログインしてもらい,それからサービスを提供するという場合には,IDとパスワードを持たないユーザ,言い換えると会員情報が登録されていないユーザを,一般ユーザと区別して考えておくべきでしょう.安全な運用という観点では,悪意を持ってアクセスを試みる人というのも,忘れないようにしたいものです.
人を洗い出したら,次に,それぞれは何ができて何はできず,システムを使って何をしたいのかを,書いていきましょう.箇条書きでも,表形式でもかまいません.「〜を持っている」は,「何ができて」に含まれます.はじめに分類した人ごとに,何ができて・何ができず・何をしたいかが,違っているはずです.
ここで注意したいことがあります.それぞれの人のグループに対して,感情移入をしないようにしましょう.「悪意のあるアクセスは検出し,悪用できないようにする」というのは,セキュアなシステムを作る上で,大事なことです.しかしそれは,設計において,悪意のある人を無視することではありません.「こんな奴!」として,その能力を過小評価するのも過大評価するのも,いけません.
関わる人に基づいて情報抽出をすること,「人」とその「属性・能力」に着目すること*1,客観的に記述すること…これらが,「工学的思いやりの心」の構成要素です.

*1:UMLのクラス図にも応用できそうです.ただし,クラス図には「何がしたい」は書きませんが.