「いや,さっきのはすごかった」
「どしたん?」
「さきの子・あとの子がおる部屋な」
「うん」
「大人が誰もいそうにないんで,元気かな〜って,ちょっとドアを開けて見たんよ」
「元気やろ?」
「つうかな,一人は本棚の前でつかまり立ちして,ちっちゃいおもちゃを手に取ったりしててやな」
「それは,あとの子かな」
「んでもう一人は,座椅子に手ぇ置いて,ターンテーブルのように左右に回しててやな」
「さきの子が,よおやってるゎそれ」
「でな.ドアを開けたときは2人,別方向を向いてたんやけど,こっちが2人を見てワンテンポ遅れてから,手ぇ止めて,首の向きだけ変えて,こっち見るんよ.同時やで」
「かわいいやん!」
「しゃあないんで,こっちは手ぇあげて『おいっす』って言うたらな…」
「…」
「ワンテンポ遅れてから,また同時に,首の向きを元に戻して,おもちゃと座椅子で遊ぶんに戻るんやぞ」
「めっちゃかわいいって!」
「何やあれは」
「それねえ,あの子らも『何だぁ,パパか』って思ってやんねんで!」