先週から今週にかけて,学生に指示したことを,整理してみました.
レイアウト
- 章・節・項の見出しは,ゴシック体とし,左寄せしてください.太字の明朝体は,使わないようにしましょう.
- 長いと感じた段落は,段落分けを検討してください.ただし,分ける基準は,長さではなく,「1トピック1パラグラフ」です.一つの段落に複数のトピックが入っていたら,分けるわけです.
- 節の中で空行を作ってはいけません.詰めましょう.(本文と図表の間は,空行をとるほうがいいのですが.)
- Wordで表を作ると,無駄な空白が多くなりがちなので,詰めてください.列単位で幅を変えて,かまいません.
- スクリーンショットの中の文字が小さすぎたり,無駄な空白が目立ったりするときは,一部だけ切り出して拡大表示させましょう.スクリーンショットを撮り直すことも,考えてください.
- 図表をどこに配置するかですが,まず本文で,図表番号を用いて言及し,対応する図表をその段落が終わった直後に置くのを,原則としてください.
書くべきこと
- 研究対象となるXを説明する際,「Xとは何か」「Xに関わる(取り扱う,管理などをする)ものは何か」「Xはどのようにしてやりとりされるのか」の順に書いてみてください.
- システム説明の最初の節に,概要を入れてください.「何をするシステムか」「どんな利用者があるか(誰のどんな作業を支援するシステムか)」「システムは何を行うか」「システムをどのような方針で実装するか」の順に書くといいでしょう.
- 評価のところでも,その目的を書きましょう.前振りを書いたあと,「そこで,...を目的として評価実験を行った」とするのが基本です.
- 第1章,研究の目的の節で,実施したことを細かく書かないように.「何をするシステムか」「それを使うとどのようなメリット・効果があるか」「どのような方針で開発したか」を,簡潔に書きましょう.
- 最後の章は,「実施したこととその意義」で1段落,「今後の課題」で1段落,としてください.
表現・表記
- 多い言葉は文書内で検索しましょう.「また」「なお」「ただし」「という」「ように」に注意したいところです.それぞれ使用が適切か,2つの連続する文で使用していないか,チェックしてください.
- 「ように」「ような」は,見直したいところです.動詞を前に置いて,目的(so that 〜 may)の意味にするのならよいのですが,名詞の後に書いて,例示やぼかした書き方(asやlike)にしているとき,それでいいか,よく考えましょう.
- 前後の表現に合わせて「Xは有用であることを示した」か「Xの有用性を示した」を選びましょう.
- ファイル名,関数名,変数名,データベースのテーブル名などは,「 」“ ”" "などで囲まないように.
- 「ドラッグアンドドロップできる」は,ぞんざいな表現に見えます.「マウスのドラッグ操作により…できる」としましょう.
- 本文では原則として敬語表現を使わないようにします.「〜先生」は,「教員1名」です.「いただいた」は「得た」であり,「〜に使用していただいた」としたいところは,「〜が使用した」と書き換えましょう.
- 「WordおよびPDFファイル」のところは,長くなっても「WordファイルおよびPDFファイル」としてください.
- そこの「65535」は,「65,535」としてください.どんな数値にもカンマを入れないといけないのかというと,そうではなく,例えばプログラムコードや検索語,また西暦の「2012」なんてときは,カンマを入れてはいけません.
- (概要の)システム評価の説明で「〜であった」とありますが,強い断定に見えますので,「〜であるのを確認した」として,自分の環境での結果だというようにしましょう.
参考文献と引用
- 「.[3]」とありますが,引用は句点の前に移動させ,「[3].」としてください.
- 論文や著書は,「著者: 題目, 出所など詳細 (刊行年).」を基本フォーマットとしてください.
- URLでない項目については,最後にピリオドを打ってください.
- 参考文献にURLが多いので,厳選してください.最終的に卒業論文に入れないページ情報は,別途テキストファイルに保存しておくといいでしょう.
概要・abstract
- 「背景説明」と「本研究で実施したこと」の分量の比が,いま,2:1になっていますが,逆の1:2程度にしてください.背景説明を減らすとともに,第2段落の後半は「本研究」の説明となるよう,文章を調整してください.
- ある性質を満たすという書き方にするなら,その性質について,「なぜその性質が必要とされるのか」が分かるような説明を試みてください.その際,「なぜ」「というのは」といった言葉を使ってはいけません.
- "etc."は取り除いてください."X, Y, Z, etc."のところは"X, Y and Z"としてください.
- "So"から始まる文は書かないように."Therefore"が無難です.「A→B」という関係があるのなら,"Since A, B."とするのも,いいかもしれません.
- "But"から始まる文も,よくありません."However"としますが,使いすぎは良くないので要注意です.理由だとsinceなのに対して,逆接の接続詞にはalthoughがあります.
- 省略形は使わないように."it's"は"it is","can't"は"cannot"としてください.
- 「SQL文」の英訳ですが,"SQL sentence"よりは,"SQL statement"のほうがいいでしょう.
- "DBMS"の複数形は"DBMSs"です.
- "our"や"one's"といった,所有格を適切に入れましょう.三人称単数のときは"his or her"としてください.複数にして"their"とする手もあります.
(最終更新日時:Sat Feb 18 14:50:07 2012ごろ)