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2012年のトランプ配り

教科調査官が語るこれからの授業 小学校―言語活動を生かし「思考力・判断力・表現力」を育む授業とは

教科調査官が語るこれからの授業 小学校―言語活動を生かし「思考力・判断力・表現力」を育む授業とは

  • 作者: 水戸部修治,笠井健一,村山哲哉,杉田洋,直山木綿子,澤井陽介
  • 出版社/メーカー: 図書文化社
  • 発売日: 2012/08/01
  • メディア: 単行本
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国語・社会・算数・理科・外国語活動・特別活動の6つの章で構成されています.それぞれで,文部科学省初等中等教育局の教科調査官が求める授業の概略を述べたのち,3つの「モデル授業」が示されています.算数以外の学習指導案を読みながら,がちがちにフォーマット化されているわけではないことを,知ることができました.
とはいえ,関心はやっぱり算数です.教科調査官の説明から,抜き出します.

(略)そこで「12個のキャンディーがあります。これを3人で等しく分けましょう,というときに,どんな図を描きますか」と。2時間目は数を変えました。
このとき1個ずつ線を引いて分けていく子どももいれば(図1),子ども3人の図を描いておいて,そこに1個ずつ置いていくやり方もあります(図2)。これらはどこのクラスでも描く子どもがいると思います。「全部で12個だ。1人が4つずつになった。3人で分けた」ということを表すのに,この2つの図ではどちらがわかりやすいでしょうか。
わかりやすいのは図1よりも図2です。図2だったら,1人分が4つずつということも,3人で分けたということも,4×3=12で全部で12個あるということも見てわかります。「こういう図を書くとわかりやすいね」ということになると思います。そして,「1人分が4個ということも3人で分けるということもわかる図だね」ということを2時間目に押さえるのです。しかも,この図だったら,4×3=12という式に直すことができます。3時間目につなげることが出きます。このように,1時間目は具体物を「分ける」という操作をして答えを求めることが目的でしたが,2時間目は図を使って答えを導くことが目的になるのです。
(p.71)


トランプ配りの等分除への適用です.最近貼り付けた,dealing outも,直線に並べておいてそれを配っているのでした.
遠山啓は,トランプ配りが乗法の立式に適用できると主張しました.したがって上の話であれば,3×4=12も,その場面をあらわしたものとなります.それを理解するには,図1の丸の並びを,3つずつ囲っていくか,図2で,段ごとに囲むのでもいいでしょう.
上の記述は,図1も図2も,これをかけ算の式で表すなら,4×3=12のみであることを示唆しています.トランプ配りの乗法への適用が「過去のもの」であるという,一例が,追加されたように感じました.
ところで,1時間目・2時間目・3時間目という表現が出ています.これはどうやら,授業に3時間かけて,等分除*1を学習するようです.それぞれの時間の違いが,p.72で図となっていました*2

「□×3=12」を見て,包含除と等分除 再考に書いた,九九の話を思い出しました.

*1:p.70には「第三学年のわり算の場面」とあり,包含除・等分除といった記述は見当たりませんでした.

*2:ただし,3時間とも同じ数量ではなく,九九の範囲ですがそれぞれ異なるようにすることも,本文中に記されています.