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「かけ算の式を書く順番」に対する,ベネッセの回答に感動

感動しました.「かけ算」話で,今年一番感動しました.
要因は2つあって,一つは,理由の最初の文です.

1:式は単なる「答えを出すもの」ではなく『数量の関係を表すもの』として指導しています。

この文が,あとの説明のいろいろなところに,影響しています.最近読んだ本の言葉を使うと,main ideaに当たる文です.
そして,「数量の関係」で連想するのは,現行すなわち2008年公示の学習指導要領で,第1学年と第2学年に,「数量関係」の領域が加わったことです.そこに「乗法の式」の項目が作られました.
そういったことは,算数を専門とする小学校の先生には釈迦に説法でしょうし,そうでない人も,新旧の学習指導要領とその解説を読み比べるなり,Webで探す(例えばhttp://www.hyogo-c.ed.jp/~gimu-bo/kyouikukatei/syo/syo04sansu_point.pdf#page=10)なりすれば,「へえ,そういうところが変わっているんだ」と確認することができます.
もう一つの理由は,引用の順序は逆になりますが,回答の出だしです.

かけ算の式を書く順番について、進研ゼミでは(1つ分の数)×(いくつ分)=(全部の数)で立式するよう指導しております。

全文を読み,またブラウザの検索で分かるのは,これ以降に「順番」「順序」,いや「順」の文字が,一切現れないことです.
かわりに,よく目にするのは,「(1つ分の数)×(いくつ分)=(全部の数)」です.
これは,進研ゼミ小学講座において,かけ算の指導をしていくにあたり,コアになるのは「(1つ分の数)×(いくつ分)=(全部の数)」であって,「順番」でも「順序」でもない,と暗に主張しているようなものです*1
なぜ最初が「かけ算の式を書く順番について」となっているのかというと,推測ですが,質問した側の文章に,「かけ算」「順番」が含まれていたので,回答の冒頭はそれに合わせたのでしょう.
簡潔で,学校の先生だけでなく,2年生の子どもを持つ親が読んでも分かる文章でありながら,知る人ぞ知る情報や配慮がきっちり入っている文章です.もう一度書きます,感動しました.
自分も真似したいのですが,思ったことを言い,書けるときにめいっぱい書く性格のところを,直さないといけないようで…
まあそれでも,思いついたものを書いておきます.「教科書の指導」だけでなく,学会の解説,具体的にはhttp://ci.nii.ac.jp/naid/110007994852の内容とも,整合しています.かけ算の順序問題がWikipediaにもどうぞ.

2013年11月10日追記:お越しくださいましてありがとうございます.時間がございましたら,以下の記事もご覧ください - 算数教育に関わる各団体は,かけ算の順序についてどのような見解を出していますか?, 式に単位(古いもの), 「かけ算の順序」のダブスタ考

(最終更新:2013-11-10 早朝)

*1:http://www.twitlonger.com/show/kdeni2で「順」を探すと,ずいぶんと出ます.