「これが最後のスライドになります.
みなさんは学生生活を,さまざまな人間関係のもとで,これから楽しむことになると思います.それを大いに期待します.
さて『あなた』を,中心に置いてみましょう.
そして取り巻く人間関係はというと…
挙げてみたのは,両親,兄弟姉妹,親類,大学外の友人,右上に飛んで学友,先輩後輩,アルバイトなどの雇用主,そして大学の教職員です.
線で結んでいますが,それぞれの丸の大きさや,線の結びつきは,学生生活を送りながら,変わっていくことになると思います.私自身も,大学生のときに,家族の一人を失うということがありました.
こういった人間関係のもと…
みなさんは誰もが,『かけがえのない一人』となっています.みなさんがいなくなったら,困る人,悲しむ人がいます.私も,困り,悲しみます.
ですが,この図は,次のことも教えてくれます.
『あなたは,一人ではありません』.
学生生活は山あり谷ありです.楽しいこと,嬉しいことばかりでは,ありません.
困ったこと,つらいことがあったら,誰かに相談しましょう.
しかし誰に相談すればいいのでしょうか…それは,そのつらいこと,言い換えると,直面する問題に依存します.
両親かもしれないし友人かもしれない.そして…
大学のこと,学業のことであれば,そこに大学の教職員を,相談相手の選択肢の一つとして,このスライドとともに,思い出してくれればと願います.
私からお伝えしたい,学生生活ガイダンスは,以上です」
なにこれ
「書かれていない」は理由にならない,学生便覧をよく読もう,そして本記事は,4月7日に学科の学生に伝えた「学生生活ガイダンス」からの抜粋です.実際には話せなかったことも,多分に含まれています.
学生生活ガイダンスとして話すのは,昨年に引き続き2年目です.本記事で載せた4枚の画像は,実際には1枚のPowerPointのスライドで,今回,新たに作成しました.
前回は,前任の方のスライドほぼそのままでした.1年間,関連業務を通じて経験を積み,4月に入ってからスライドを見直すと,「学生証を人に貸すな」「パスワードを知らせるな」「カンニングするな」「暴力するな」「外周道路を二輪車で走るな」といった,禁止事項が多く目につきました.
それらを控えめな表現にし,イオン開業や出席管理システムといった新しい内容も取り入れつつ,学生に対する,もうひと押しのメッセージができないかと,時間をとって考えてみました.そこで,自分が本来すべきなのは,ダメダメと言うのではなく,困ったときに手を差し伸べること,それが無理なら,差し伸べてくれる「手」の存在を伝えることだと,思い至りました.
本日の話では,「かけがえのない一人」と「一人ではありません」とで使われる「一人」の意味がそれぞれ違う,というのがポイントとなっています.前者は,the only one personです.後者は,単独あるいは孤独でしょうか.
個人的な語感ですが,英語には力強さがあります.それに対し二字熟語は,伝統といいますか,それ,昔から言われてきたことなんだけどね,といった意味合いが入っているように感じています.