「スライドを見ました.
『Apache Solrは,全文検索エンジンライブラリLuceneをベースに,管理画面やキャッシュ機構を取り入れたアプリケーションである』と書いてあるのですが,SolrもLuceneも,初めて見ることになる聞き手(研究室の学生)には,それらの関係が伝わりにくいと思いました.
だからといってLuceneの詳細を書くのも,良くないでしょうから…
文はこのままにして,『たとえ話』を入れてください.
とりあえず思い浮かんだのは,宝石と指輪です.Luceneが宝石,Solrが指輪に対応します.
素晴らしい宝石は人を魅了しますが,だけれど,宝石単体では,維持・管理が厄介です.落っことしたり,誰かに盗まれたり,すり替えられたりするといった,危険性もあります.
そこで,宝石をはめ込んだ指輪にしておくわけです.宝石の持つ魅力はそのままに,指輪をはめることによって,その所有者が誰の目にも明らかとなるのです.
宝石と指輪を使ってくれてもいいし,他でもかまいませんが,2者関係を何か別のものに置き換えて,イントロの説明に加えてみてください.
あっそうそう,『Luceneをベース』を含む文は,どうやらwikipedia:Apache_Solrの引き写しと思われるので,スライドのどこかに出典を入れておきましょう」
なにこれ
某年月日にゼミを実施しました.4年生と大学院生に,各自の研究に関連するソフトウェアなどを,一人10分で紹介してもらい,3年生を含む他の学生と情報共有を図りました.
ある学生にはApache Solrを取りまとめて報告するよう指示しました.上記は,発表の前日に送ってくれたスライドを見て,メールでアドバイスした中のひとつです.
計算機利用の経験から,LuceneとSolrの関係に近いものを探ると,真っ先にplain TeXとLaTeXが思い浮かびます.以前に当ブログ上で,自分が大学2年のときに受講した語学で,TeXやEmacsのオンラインマニュアルが教材だったと書いてきましたが,あれはplain TeXでした.そしてLaTeXについては,授業中に先生が補足してくれたように記憶しています.*1
とはいえplain TeXは,今の学生向けではありません.Linuxのカーネルとディストリビューションのほうが,分かりやすそうです.
コアな部分を作りメンテナンスする人と,時流に合ったものを取り入れ周辺部を整備してパッケージ化する人がある社会というのは,ソフトウェアに限らずさまざまなところで目にします.「駕籠に乗る人担ぐ人そのまた草鞋を作る人」なんて言葉もあります.
そうこう考えてみると,たとえ話をする場合に,用語やシチュエーションの選択はきわめて重要です.20代の男子学生を中心とする研究室で,宝石や指輪を持つことや,プレゼントすることの意義が,分かりにくいかもしれないので,あくまで一例とし,発表してもらう学生に,自分の言葉で話せるよう,考えてもらうことにしました.ゼミは結局どうなったかなどは,割愛させてください.
この記事は11月1日にリリースしました.次の新たな記事は,11月4日夜の公開を予定しています.