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アカウント? ユーザ?

情報処理教育担当として,今年度より,前期に2クラス,後期にも2クラスの情報処理科目を担当します.学生からすると,科目は「情報処理I」「情報処理II」という2つですが,時間割表やシラバスでは,それぞれ5クラスに別れて記載されています.事前のクラス分けで,誰がどこに出席するかが決まっています.
教員に話を戻すと,私が担当しないクラスについては,もう1人,同じ数の担当をする教員がいます.また別に,前後期で異なる教員が1クラスずつ担当します.各回の“出し物”,すなわち授業の内容や課題は統一し,評価は各教員が行います.
昨日が,演習授業の初回で,3教員が1クラスずつ実施しました.小さなトラブルはありましたが,自室においては学生のPC操作に大きな支障は見当たらず,2人のTAが巡回し指導してくれたのも効果大でした.回を重ねながら,スキル向上を図っていきたいと考えています.
授業準備をしていて,気になったのは,ユーザ認証に関連して見かける,「アカウント」という用語の使われ方です.
その前に,授業の流れを説明しておきましょう.初回授業では20分程度の“お話”のあと,計算機の電源を入れてWindowsを起動させ,その間,システム情報学センターによる利用許可書*1を各学生に配布し,受け取った学生はその内容をもとにログオンをします.無事に入れたら,タスクバーにあるアイコンの1つをクリックして,ブラウザを起動します.デフォルトで表示される“演習室ポータル”から,学内掲示板システムや授業管理システム,Webメールのサービスを開くことができます.それぞれの利用にあたって,学生は1つ1つ,利用許可証を見ながら,ユーザ名とパスワードを打ち込むことになります.
気になったのは,サービス使用あるいは認証のための,用語の不統一です.とりわけ「ユーザ名」を打ち込むべき箇所について,ある入力フォームでは「ユーザID」,また別のところでは「アカウント」と書かれていました.
“お話”のためのPowerPointに,各サービスのスクリーンショットを貼っていきながら,必要な箇所に「ユーザ名とパスワードを入力」を添えました.
ユーザ名とユーザ情報,そして「アカウント」がどのように違うのか,自分でも不確かだなと思いながら,Webの情報をあたると,違いが載っていました.

簡単にいうと,アカウントとは「権利」のことです.もう少し言うと,計算機や,ネット上のサービスを利用するための権利です.
辞書も見ておくと,アルク*2では「《コ》アカウント◆コンピューターやウェブサイトなどへアクセスして、それらを利用できる権利。通例、ユーザー名とパスワードを入力してサービスを受ける。」とあります.またMerriam-Websterの"account"*3では,「4 b : an arrangement in which a person uses the Internet or e-mail services of a particular company」と書かれていました.
「権利」はユーザに近い語句なのに対し,英語辞書では"arrangement"という,サービス提供者に近いか,もしくはユーザと提供者の仲立ちをするような語*4が使用されているのも,面白いところです.
アカウントからは,次のことも想起します.初回授業で学生が行う,Windowsでのログオンや,各種Webサービスのログインもしくはサインインでは,それぞれ異なる認証システムを通じて,ユーザの確認がなされています.とはいえ完全に別ではなく,学内部局が発行した,共通するユーザ名とパスワードのペアを使いますし,実際のところそれらの情報は,LDAPで一元管理されています.その効果として,パスワード変更もWebブラウザから行いまして,ひとたび変更すると,学内PCのWindowsでもLinuxでも,各種Webサービスを使うにも,変更したパスワードを打ち込めばよいとなります.
6月ごろの授業では,一元管理から外れたところのユーザ作成そして各自の管理をしてもらう予定です*5複数アカウントの管理は,厄介な話ですが,何を授業中に全員にやってもらい,何については説明するけれども自己責任でやってくださいねと言うか,授業の準備をしながら,しっかり検討していくことにします.

*1:学生氏名・ユーザ名・パスワード・メールアドレスも書かれています.ユーザ名は,学生番号から求めることができます.認証にあたり,ユーザ名とパスワードの2つが必要なことを,1年生にどのように伝えるのがいいのかと考えながら,スライドに「ユーザ名を間違えないこと」「パスワードは厳重に管理すること」を書き加え,「ここでいう「間違えない」とは文字の打ち間違いというよりは,ユーザ名に学生番号だとか,他のIDだとか,ましてやパスワードなんかを打ち込んではいけないという意味です」をメールの本文に書いて,案を送ると,数時間後の修正案では「ユーザ名を間違えないこと」が取り除かれていました.

*2:http://eow.alc.co.jp/search?q=account&ref=sa

*3:http://www.merriam-webster.com/dictionary/account

*4:アルクでarrangementを引くと,「準備、手配、お膳立て、用意」「協定、取り決め、合意」が出てきました.

*5:もし1年生がこの記事を読んで,シラバスを見ても分からないぞ何のことだと思ったら,「生涯アカウント」という言葉を,とりあえず頭の中に入れておいてください.