「ママ,おはようさん.…と,一緒に来たこの子は,さきの子か?」
「あとのこやで!」
「あっとすまんかった,あとの子よ,おはよう…」
「んで,部屋の角っこの机の下に三角座りかよ」
「なあママよ,この子が朝一番って,珍しいな」
「せやね」
「三角座りいうたら,日曜日,長イスに三角座りして,すねおったな」*1
「だって〜,あのくつ,あたしのんやもん」
「いやいや,もともとお前のんではないし,我が家の誰のんとも違う靴やってんからな」
「ママ〜」
「ふーむ,そこでママんとこか」
「ママの膝もとで,ごろん,としてみたのはええけど,ママの体から,ずいぶんとはみ出たな」
「せやねんこの子,大きいんよ.さきの子ちゃんもやけど」
「すえの子やったら,良い位置に収まっとるんやが…そういえば,昨日の晩に泣いてたんは,誰やったんかな?」
「さきの子ちゃんやで」
「ほお.経緯はあえて聞かんが…あの子は,叱られたり,自分の思うようにいかんと気づいたりしたら,仁王立ちして大泣きしよるな」
「そうやねん,昨日の晩もやし」
「へえ.んでやなあ,あとの子よ,お前はあんまし泣かんけど,すねるんよな!」
「え〜だって〜」
「ああはいはい愛想を振りまくんな」
「うえの子は,言い訳がましいところがあるな」
「そう! 素直に聞き入れてほしいんやけど」
「んで最後にすえの子は,叱られたくらいでは泣かんが,憮然とした表情をしおるんよな」
「そうそうあるある!」
「あれは何なんやろうか,内と外の情報を自分なりにすり合わせてるんやろか,それとも説教が終わるのを待っとるんやろか…」
「どうなんやろねえ」
「思い出してんけど,今日も早い時間の電車で行くんで,朝ごはん頼むよ」
「はーい.じゃああとの子ちゃん,ママと一緒に降りよっか?」
「うん!!」
「ほな行くが…」
「いってらっしゃい」
「パパが朝食に降りる前に,すえの子が階段の上で泣いてたんやが,あれは何や?」
「あああれね,あたしが1番やないってことで,泣いてたんよ」
「そんなんで泣くんかいな!?」