「ただいま…」
「あっ,パパ.おかえり.今日は早かったね」
「すえの子やな.さっき,駐車場のところで,ママもおんなじこと言うてたぞ」
「今からあたし,2階でテレビ観るねん」
「ほお…」
「宿題は終わったし,自主勉もできたし…」
「それやったらええねんけど.そっか,今,お姉ちゃんら,おらんねんな」
「そやねん.うえの子お姉ちゃんは,2階へ行くなって言うし,さきの子とあとの子は,うちが一人でテレビ観てたら,あとでおこるんやで」
「(相変わらずさきの子・あとの子は呼び捨てか…*1)ママがお迎えに行ってる間,テレビを観るっちゅうことか」
「そういうこと」
「まあええけど.えっとえっとパパは,水筒を出して,手ぇ洗ろて…」
2階の一室では,テレビをつけて,表示は地デジではなくYouTube動画ですが,すえの子が観て喜んででいます.
リュックサックを置いて,じゃまにならない場所で横になりました.
1階の声や物音が,伝わってきます.おばあちゃんが,夕食を作っていまして…
何度も「すえの子ちゃん」と言っています.回数を重ねるごとに,声も大きくなっています.お勉強が終わったのなら,晩ごはんのお手伝いをしてほしい,と言っています.
すえの子の耳にも届いたところで,「ちぇっ」と言って電源を切り,降りていきました.
目を閉じて,少し,考えました.すえの子がテレビを観るには,家族のさまざまなチェックを受けるわけです.
ママは,その日の勉強を済ませたかどうかを重視します.うえの子・さきの子・あとの子は,また別の観点です.「時間を作ってテレビを観る」という考え方に対し,おばあちゃんは「時間があるならご飯の用意を手伝って」というロジックです.
おじいちゃんは,すえの子に寛容ですが,1階でテレビを観ることが多く,彼女の観たいものと異なります(そして1階のテレビではインターネット動画は再生できません).
最後にパパのチェックは…あってないようなものです.ほぼ,叱られません.「今日の分の勉強,終わったんか?」と聞かれれば「終わった」,「明日の準備はできたんか?」ときかれれば「できた」と答えれば,いいのです.……
少し,寝入ってしまいました.ママが持ってきてくれた夕食で,目が覚めました.