わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

コメントの威力

本文は気楽に読みました.「1あたりの数×いくつ分=全部の数」を基本とするのは,数教協スタイルだなあ,えっとこれ書かれたのは今年かいな,といったくらいの認識でした.
コメントを読んで,意識が大きく変わりました.天橋さんという方が,本文の内容に対して,ズバッと的確に,切り込んでいるのです.
特徴的だったところを抜き出します.

数教協的には「内包量×外延量=外延量」と解釈しているのだと思いますが,教科書的には「名数×無名数=名数」という「倍比例」としてしか教えていないと考えています。

算数での『速さ』にしてからが,「m/秒」という速さの次元を持つ内包量ではなく,「(1秒あたり)○m」という長さの次元をもつ秒速として扱われていると思います。…算数では,次元の変化を伴う演算を教えていないと考えています。

算数では,「量×倍=量」の「倍の乗除」の影が薄いのではなく,大本流として,これしか教えていないので,割合の学習で余計な説明が省かれているのだと思います。

…数教協的に独自の解釈をして授業を進める先生はいると思いますが,教科書の本流とは離れていることを自覚しておく必要があると考えています。

数教協では「度の第3用法」を「包含除」としていますが,「21m÷3m/s=7s」において「21m」の中に「3m/s」はひとつも含まれていないので,この場合にはそもそも「包含」関係にはありません。

ネーミング的には,算数的な「名数×無名数=名数」の裏返しとして名付けられた「包含除」と「等分除」との類似性から,数教協が同じ名称を使ったのだと思われます。

「数教協の教え方」と「算数の(教科書などから読み取れる)考え方」の違いが,浮き彫りになっています.本文よりも何倍も,学ぶところが多い内容でした.
2者の違いを認識した上で,本文をもとにコメントしていること,「思います」「考えています」を多用していること,句読点が「,。」となっていることから,算数を専門とする現職の教師,もしくは教師を指導する立場の方なのかなと推測します.
本文よりもコメントに,衝撃を覚えたのは,以下の記事以来です.

コメントを読んで,算数・数学教育や学術文献から,日常のかけ算の使われ方に意識をシフトするようになったのでした.もう一つのブログを解説して事例収集や検討を進め,「いくつ分×1つ分の数」で書かれた式がVergnaudが提案した枠組みの1つで解釈すればいいと知った*1のは,大きな収穫でした.