わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

0÷x=0

いきなりですが問題です.

「0をどんな数でわっても0」を算数で学んだら,それをどんなところで活用するといいでしょうか.

細かいことを言うと,「どんな数」に0は含まれません.0を別にすれば,わる数は,小数,分数,(負の数,)無理数複素数でもいいのですが,以下では正の整数に限定します.
さっそくですが解答です.筆算で,商の桁に0を書くときに,「0をどんな数でわっても0」を活用します.
具体的な筆算の例を:

    110
  -----
11)1210
   11
   ---
    11
    11
    ---
      0

1210÷11=110というのは,電卓でも暗算でも,求められますが,筆算でとなると,上のように書くのが一般的です*1
この筆算では,2番目の引き算(11−11)によって,わる数の部分が0になります.そこでもし,“わり算おしまい! よかった”,としてしまうと,筆算の最上段に書く「商」は,「11」で終わってしまいます.a÷b=q ⇔ q×b=aを使って,検算を試みると,11×11=121≠1210で,おかしいことが分かります.
このとき,商の一の位に「0」を書きます(そうすると,検算の式は110×11=1210です).検算に合うようにという事情とは別に,そう書く理由を言うとなれば,「0を11でわると0だから」が使えるのです.代数的には110×11=100×11+10×11=100×11+10×11+0×11*2と表せます.
補足を2点.110×11のようなかけ算の筆算なら,末尾の0を別にしてかけ算し,あとで0を書き足すというのも可能ですが,わり算でそうするわけにいかないのは,1310÷11を筆算にすれば確認できます.たとえば1111÷11=101(商は111ではないですね)の筆算で,十の位に0を書くのに利用する性質は,「aがbより小さいとき,aをbでわったら,商は0であまりはa」です.


昨日軽い気持ちではてブした,昨年書かれた記事に,その後びっくりするほどはてブがついていました*3

今年の秋は「かけ算の順序」の盛り上がりがなかったなあ,ここで巻き起こったのか…
コメントをしましたが,あいにくブログ主さんの意図ではなかったようです.
はてブのコメントの中に,https://twitter.com/genkuroki/status/272603939273310209がリンクされていて,教科書画像を見ていくと,「4÷0」のような,0でわる式はなく,「0÷4」「0÷2」「0÷6」と,0をわる式ばかりです.
また0÷4=0となるのは,8÷4=2,4÷4=1と関連づけています.これは「0をどんな数でわっても0になるのはなぜか」の学習です.
ここから「0をどんな数でわっても0になるのを学ぶと,後にどこで利用することになるのか」を思いついて,作ったのが,上記の問いと答え(筆算)という次第です.
主任39さんの記事を読んだあと,当ブログで読み直した記事にリンクしておきます.


算数・数学とその教育(「かけ算の順序」を含みます)に関する記事については,以後,「math」カテゴリーとして書いていきます.安直ですみません.

*1:筆算生成プログラムは,Rubyで4年前に書いたものです.http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20110107/1294347303

*2:今回使用したわり算では,商に立てる数が百の位・十の位ともに1ですが,他のわり算の式でも表現できるよう,筆算に内在する式を書くなら,1210−11×1×100−11×1×10−11×0×1=0となります.

*3:http://b.hatena.ne.jp/entry/ch.nicovideo.jp/syuninn39/blomaga/ar244935でファーストはてブとなっているほか,関連エントリーで,当ブログの記事が2つ,入っています.