画像を文字にしておきます.
【2】次のわり算の答えは,何のだんの九九を使ってもとめればよいですか。
(1) 21÷7 ( のだん)
(2) 56÷8 ( のだん)
お子さんは(1)の答えに「3」,(2)の答えに「7」と書き,赤で不正解と思しきチェックがついます.赤鉛筆でそれぞれ「7」「8」と書かれたところには,青丸です.
いずれの問題も,わる数を答えに書けば,正解となります.実際にそれで求められることを,(1)で確認してみると,7×1=7,7×2=14,7×3=21ということで,21が出てきました.かけ算とわり算の相互関係として書くなら,「7×3=21⇔21÷7=3」です.(2)も,8の段で8×7=56が得られます.
さて,(1)で,3の段を使うと,3×1=3,3×2=6,…,3×7=21ですので,21÷7=3を得ることができます.だから「3」も正解だという意見も出てきます.
他の情報を参照することなく,問題文を見て思ったのは,「a×b=p(b×a=pも)が九九にあるとき,p÷aは,aの段を使って求めればよい」というのを,授業で学習した上で,先生は問題を解かせ,採点したんだろうなといったところです.「何のだんの九九を使えばもとめられますか」だったら,黒鉛筆で書かれた「3」「7」も,○にしたいところです.
かけ算・わり算の低学年向けの指導や出題は,いろいろと見てきたものの,類題は思い浮かびません.都算研の問題(平成24年度, 22年度)や計算力調査を読み直してみましたが,九九の何の段を使うかという出題は見当たりませんでした.指導例だと,わり算の式を学習していない段階で,□×6=48,6×□=48の「どちらも6の段の九九から48をさがすことになろう」*1と書かれた文章が見つかりました.指導のもとになる,小学校学習指導要領解説 算数編はどうなっているかというと,「除数と商が1位数の場合の除法を指導する。例えば,48÷6や13÷4などの乗法九九を1回用いて商を求めることができる計算である。」(*)が見つかりましたが,それぞれのわり算の式に対して,九九の何の段を用いればよいかについては,言及がありませんでした.
この件を心に留めて,かけ算とわり算の相互関係や,わり算の計算に対する九九の適用など,もう少し指導例・出題例を見ていくことにしようと思いました.
その後に読んだツイートや,『小学校学習指導要領(平成29年度告示)解説算数編』の記載などについては,以下をご覧ください.
*1:正木孝昌 (1980). 整数の乗除の意味と計算指導のキーポイント. 整数の計算 (リーディングス 新しい算数研究) p.157.