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今年の全国学力テストに見る,たし算・かけ算・わり算の順序

小学校算数・中学校数学のPDFファイルをざっとダウンロードして読みました.数学について,手短に書いておくと,数学A大問1(2)で0を自然数に入れてはいけない出題が見られました.数学A大問1(4)の選択肢に「(+3)+(−2)」と「(−2)+(+3)」があり,こんなところにたし算の順序かと思ったら,ほどなく,どちらも間違いに気づきました.比例式をつくる問題(数学A大問3(3))も,面白かったです.
小学校算数は,問題文も書き出しながら,より詳しく見ていきます.たし算の問題が,算数A大問9(1)にあります.

バスに乗る人が,バス停に一列に並んで待っています。
さゆりさんの前に10人,後ろに19人います。
バス停に並んでいる人数は全部で何人ですか。
求める式と答えを書きましょう。

以前に見た,「ひろしくんのまえには5にん,うしろには3にんいます。子どもは何人ならんでいますか。」(ひろしくん2015より)では,ひろしくんが子どもでない可能性も,考えることができたのですが,上記では,さゆりさんを,並んでいる人にカウントしないといけません.
そこで式ですが,解説資料の解答類型の表を見ると,「10+1+19と解答」が,◎による正答の最初となっていました.たし算の順序に関しては,表の注意書きに「項を入れ替えた式なども許容する。」とあります.被加数・加数というわけにいかないので,「項」なのですね.
かけ算の順序について,目についたのは算数A大問1(3)と,算数B大問1(1)です.前者は,「48.1÷1.3の答えを37と求めました。」から始まります.この検算の方法について,「(エ)×(オ)を計算して,(カ)になるかどうかを確かめます。」とし,(エ),(オ),(カ)に数を書かせます.(カ)は48.1でいいとして,(エ)と(オ)は残り2つを,どのように並べてもいいんだろうなと思いながら,解説資料を見ると,解答類型としては「(エ)に37,(オ)に1.3」と「(エ)に1.3,(オ)に37」を別にしていて,ともに◎の正答でした.
算数B大問1(1)は…問題文を貼り付けます.

1辺が9cmの正方形の面積は,9×9=81で*1,81㎠です.そして「縦の長さを1cm短くし,横の長さを1cm長くすると」とあり,1辺が7cm(この前のページ)や8cmのときの式と同様に,8×10=80とするのが自然なのですが,10×8=80とすること,すなわち(ア)に10,(イ)に8を書いてもよいのかが,気になってきます.またも解説資料の解答類型を見ると…類型のための番号を分けて,いずれも◎となっていました.
少しだけ脱線します.◎の意味は,解説資料のp.2(PDFとしては3ページ目)によると,「解答として求める条件を全て満たしている正答」です.また「○」となっている解答例もあり,これは「設問の趣旨に即し必要な条件を満たしている正答」です.このように,正答にも区別をしているわけです.
◎と○の違いとして,興味深かったのは,数学A大問5(2)です.「四角形が,その面に垂直な方向に一定の距離だけ平行に動くと,その動いたあとを立体とみることができます。このとき,できる立体の名称を書きなさい。」という問題で,直方体は○の正答となっています.この出題の◎の解答は「四角柱」でした.
さて,わり算の順序ですが,これはたし算・かけ算と違って,入れ替えた式を許容するわけにいきません.ここでは,問題文で先にa,後にbが出現していても,式としてはb÷aと書く必要があるものを対象とします.過去の出題は,順序を問う問題をご覧ください.
今回の全国学力テストでは,算数A大問4が該当します.「あるシートの1㎡あたりの人数を調べます。このシートの面積は8㎡で,シートの上には14人すわっています。」から始まり,2次元的な散らばりを,2重数直線に変換してから,「シート1㎡あたりの人数を求める式を書きましょう。」となっています.14÷8が正解,8÷14は間違いです.
…ですよねと思いながら,解説資料をチェックしておくと,14÷8は◎,8÷14は誤答の筆頭でしたが,その間に,「シートにすわっている人数÷シートの面積」や「□×8=14」が,○の正答として,例示されていました.


算数Aの問題数が,20分の解答時間にしては多いかなと感じました.解答用紙から数えてみると,大問数は9,解答数は26です.昨年実施ではそれぞれ8と20でしたので,確かに増えています(が算数が得意な子どもは,時間を余らせたでしょうね).

(リリース:2016-04-24 早朝)

*1:この式は「1辺×1辺=正方形の面積」と「縦×横(または横×縦)=長方形の面積」の両方を表しています.「正方形は長方形」http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20141127/1417036309の,昨年とはまた異なるバリエーションのように思えます.