わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

通学のセキュリティ

いきなりですが問題です.

安全性を定量的に評価する事例について,自分で例を挙げ,簡単な説明と,数値または数式を答えなさい.

担当科目(情報セキュリティ)の初回授業のまとめテストです.配付資料の中に「資産価値=機密性+完全性」「コスト<資産価値×攻撃成功確率(ならば対策をとる)」といった言葉の式を入れていましたが,これと同様の式を,授業の最後10分ほどで学生に思いつかせるのは,無理があります.そこで,口頭にて以下の指示をしました.

  • 思いつかない人は,家を出て,大学に来るまでの中で,安全性を考えてみてください.

そうすると鉛筆が進むように見えまして,答案より,苦労のあとを知ることができました.
こちらとしては以下のように解答例をつくり,授業ページで公開するとともに,次の回のはじめに解説を加えました.

自宅を出発して,大学に無事到着できる確率は,到着を脅かす事象e_i(i=1, 2, ..., n)が互いに独立で,その発生確率をp_i(>0)としたとき,(1-p_1)(1-p_2)\cdots(1-p_n)で表される.この値は,nが大きくなるほど,小さく(大学に無事到着するのが難しく)なる.

ある学生の答案には,「到着を脅かす事象」についてより具体的な内容と,パーセントによる確率を書いていました.内容のほうはいいのですが,数値の設定は難しいものです.
そういうときは,具体的な数値を挙げず,文字で表すのがお勧めとなります.
また「到着を脅かす事象が発生しなかった確率」を,文字としておくと,積はもっと短く表せますが,工学的な定式化においては,「まれな生起確率」に文字を割り当てておき,1−生起確率と表記するのが,自然な書き方だと思います.
なお,上記のe_iについて,ラベリングして後で一切使っていないのは,そういう書き方です.「事象i」や「i番目の事象」に置き換えても,差し支えありません.「(i=1, 2, ..., n)」と,その事象が有限個であることは,断っておく必要があります.
そうしておいて,nを,定量的な検討に活用するわけです.

(最終更新:2016-04-24 晩.タイトルを「安全性を定量的に」から変更したほか,別件を独立した記事にしました)