2ch経由でTwitterアカウントを知りました.すでにフォローされていて,先ほど,こちらからもフォローしました.
上記を含む一連のツイートに目を通し,当ブログでこれまで書いてきた内容に,大小なりとも影響を受けられているなと感じました*1.
最も特徴的なのが,上で引用した件です.「小2に掛け算を直積で導入すると、小2のほとんどが掛け算を理解できないで終わってしまう」の元ネタはVergnaud*2ですが,原文を見る限り,このことを示す定量評価は載っておらず,著者(Verguand)の見立てであると言えます.また国内外でVergnaudを引用する算数教育の文献で,ここを取り上げているものは,思い浮かびません.
該当箇所と私訳,そして日本(遠山啓)と中国の指摘を加えて,取りまとめた記事は,かけ算には本来,順序がないで,2012年の年末のことです.
「このため、小2は、掛け算を1つ分×いくつ分という図式で習う」は,字数に制約のあるツイッターなので仕方のないところもありますが,個人的には,直積やアレイは昔より,かけ算で効率よく総数を求められるという意味で「計算の対象」だったのであり,「計算の手段」としては適していなかったのだと認識しています.現代化を推進してきた,SMSGでアレイを採用しており,その盛衰を現在の視点で確認できるのも,興味深いところです.
上のツイートの続きで,しかも元の方のTwitterアカウントも取り除かれていますが,
ここを見て,当ブログで「因数×因数」をいつどのように使用しているか,調べてみました.
最も古いのははてブ感謝リンク感謝(201311)で,かけ算の順序論争について(日本語版)のフォロー記事でした.
次は2015年1月です.高木貞治『広算術教科書』に見る,因数の順序,基準量が後に示された問題では,被乗数や乗数を小数に拡張した場合まで含めて,チェックし,当月に読んだ雑誌や,他の調査で用いられた用語と関連づけながら,「被乗数×乗数」「因数×因数」を書いていました.また書かれた情報を取り出し,結びつけることでも整理を試みていました*3.
「被乗数×乗数」「因数×因数」と同等のもの,というのであれば,個人的に知ったのは2011年です.乗数効果に「値段や重さなど〈乗数と被乗数が区別される文脈〉と,面積などの〈乗数と被乗数を区別しない文脈〉」と書いています.文献を取り寄せ,Greerによる,乗法・除法が用いられる場合を記事にし,かけ算・わり算でモデル化される場面として改訂版をつくってきたのでした.
*1:一例を挙げると,https://twitter.com/flute23432/status/724407509931294720で連想するのはhttp://d.hatena.ne.jp/takehikom/20121222/1356112738
*2:1983年のほうの"Multiplicative Structures".なお同ツイートの「非対称」について,Vergnaudの1988年のほうに,asymmetryという単語が入っています.http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20130216/1360948813で読めます.
*3:数学者の見解はhttp://d.hatena.ne.jp/takehikom/20150511/1431286280,海外の状況はhttp://d.hatena.ne.jp/takehikom/20151121/1448031600.