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gf更新: 変則俵型ピラミッドに対応

人間ピラミッドなどの組体操(組立体操を含む)について,荷重計算をRubyで行うプログラムの「gf」を更新しました.最新版とこれまでのバージョンは,以下より参照できます.

今回,巨大組体操つづける学校 自治体禁止でも実施、最高段数を記録、頂点から垂れ幕…(内田良) - 個人 - Yahoo!ニュースで紹介されている,特殊な俵型ピラミッド(「変則俵型」と呼びます)でも,少しのオプションで荷重計算を行えるようにしました.組み方を,この記事より引用します.

注2:やや特殊な組み方をしているため、通常の俵型の7段よりは最大負荷が小さくなる。その特殊な組み方とは、最下段は四つんばいの状態になり、下から2段目の生徒は、最下段の生徒の背中に手を乗せて、足は地面につける。つまり、下から2段目までは立体型の組み方を利用する。それより上は、通常の俵型の組み方になる。つまり、下から3段目の生徒は、下から2段目の生徒の上に、四つんばいで乗る。以降、頂点まで四つんばいで積み重なっていく。なお、最大負荷量の計算にあたっては、下から2段目の生徒にかかる負荷は、腕(最下段の生徒の背中にかかる):足(地面に着く)=3:7で下に分散するという仮定をとっている。各学年の平均体重は、文部科学省「平成25年度学校保健統計調査」を参考にした。

4段の例を,http://www.city.omura.nagasaki.jp/sanjyousyo/kyoiku/kyoiku/shiritsugakko/sho/sanjyo/katsudo/6nen/undoukai.htmlの1枚目の写真で見ることができます.2015年5月30日の運動会です.下から2段目の人は,足を地面をつけています.
全員の体重が一律であれば,最大負荷量(荷重)を求めるのは,既存の俵型ピラミッドの計算でできます.具体的には,段数Nが3以上のとき,変則俵型でN段の最大荷重は,俵型でN-1段の最大荷重と同じになります.というのも,変則俵型の最下段の各演技者の荷重は,同じ段数の俵型で対応する人の荷重の0.3倍になり,最下段以外の人は変わらないからです.
拙作のgfでは,それぞれの自重を中学3年生の体重分布(平均,標準偏差)に基づいて生成し,「より大きな荷重がかかる者にはより頑丈な者を配置する」(asin:B01BU6IYK0, p.48)ことができるようにしてきました.特殊俵型に対応するとともに,体重分布のコマンドオプションと生成ルールを修正しました.
いくつかのパターンで試算した出力を,http://d.hatena.ne.jp/takehikom/files/atypical_pyramid.txt?d=downloadより読めるようにしました.そこから最大荷重割合(max_rate)を取り出すと,以下の表のようになります.

種類\段数 3 4 5 6 7 8
俵型・一律 1.50 2.13 3.13 3.81 4.81 5.54
俵型・最適化 1.20 1.80 2.64 3.24 4.07 4.78
変則俵型・一律 0.50 1.50 2.13 3.13 3.81 4.81
変則俵型・最適化 0.50 1.19 1.74 2.50 3.13 3.90

体重の大小に応じて配置する場合,変則俵型でN段の最大荷重は,俵型でN-1段の最大荷重よりも,小さくなっています.というのは,最下段(他の人に荷重をかけないところ)にも体重の大きい者を配置することができ,その分,上位の者は軽くなるからです.
変則俵型の5段の最適化の値(1.74)が,三角錐型(立体型)の7段の最適化の値(1.67*1)と近くなっているのは,興味深いところです.
最大荷重割合に基づくなら,「安全にやれそうな高さ」は,俵型は4段,変則俵型は5段,くらいでしょうか.
実際に組み上げる段数を決める要因は,高さや実績,子どもたちの技能や意欲など,他にもありますし,俵型の四つん這いと,三角錐型の中腰(腕:足=3:7)とを比べたとき,中腰のほうが足が動く分,体をより大きく動かすなどして,負荷を左右にまた外の方向に逃がしやすいことにも,そろそろ試算結果を出す者は対応していきたいものです(かくいう自分も,対応できていませんが).

*1:http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20160306/1457267583.ただし,10個の異なる乱数の種で求めた最大荷重割合の平均値が,1.67であり,今,ruby lib/gf.rb -p 7 -m 4 -s 12345 -z c3を実行してみたところ,「max_rate=1.77917」と出ました.