「ここ1〜2年のMicrosoft OfficeのWordについて,一つ,知っておいてほしいことがあります.『游明朝か,MS 明朝か』です.
みなさんのWordで,『ホーム』のタブにして,すぐ下を見てください.ふだん使わない漢字1文字と『明朝』になっていませんか?
そのふだん使わない漢字は,『ゆう』と読みます.明朝を続けて『ゆうみんちょう』と言います.
あるいは人によっては,そんな漢字はなく,『MS 明朝』と表示されているかもしれません.
游明朝を含む『游書体』は,最近のMicrosoft Officeの標準フォントとなっています*1.
ただ,Wordの編集画面では、薄く見えてしまうことがあります.游明朝とMS 明朝とで,それぞれのフォント名と,『和歌山』と書いて,並べてみました*2.
上の行,游明朝のほうが,ぼんやりした見え方となっています.200%に拡大してみます.
こうして見ても,上の行の游明朝のほうが,ぼんやりしており,下の行のMS 明朝で『和歌山』と書いたほうが,くっきり映っています.
なのですが,これは画面のスクリーンショットを取り出して,画像編集アプリの機能で拡大させたものです.
それに対し,Wordの機能で拡大表示もできます.『表示』のタブを選べば,『ズーム』というのが見つかりまして,それを押してから,200%に変更すると,2つの行は,こんな表示になります.
游明朝は,やや細めですが,先ほどまでと大違いの見やすさとなっています.
Wordファイルは,印刷を想定して作られます.では印刷するとどうでしょうか…と言ったものの,実際に紙に印刷して,それをデジカメか何かで画像化するのは,面倒ですので,PDFで代用することにしました.
こうすると,2つのフォントの違いは非常に小さくなっています.游明朝のほうが,すっきりしているようにも見えます.
2つのフォントの違いがわからないという人は,そうですね,最後の『山』の字の,左下の部分に着目してみてください.手書きだと2画目,下そして右へと進めるところの曲がり角で,MS 明朝ではずいぶん縦線が下に伸びています.一方,游明朝ではその伸びは,非常に小さくなっています.他にも『和』の右側の口の大きさや,『歌』の第1画の横線とすぐ下の口との位置関係など,見た目---『字形』とも言いますが---の違いはずいぶんとあるのです.
『游明朝か,MS 明朝か』について,答えを出しておきましょう.PCでの編集画面では,游明朝は頼りなく見えるかもしれませんが,Wordの機能で拡大表示したり,印刷したりしてみれば,これまでのOfficeの標準であったMS 明朝と,遜色ありません.
ですので游明朝を使用して,大丈夫です.
とはいえ,『MS明朝を使用すること』といった指示がある場合には,従いましょう.またサンプルあるいはテンプレートのファイルを受け取り,それをもとに自分のレポートなり論文なりを書き上げるとなると,そこで使用されているフォントにするのが無難と言えます.
あとで取り組んでもらう演習課題も,白紙の状態から文書を作れではなく,こちらで用意した,MS 明朝に基づくWordファイルを,ダウンロードしてもらい,編集・保存ののち,アップロードで提出してもらいます」
*1:入っていない環境のために,游ゴシックと游明朝のフォントパックをMicrosoftが提供しています:https://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=49116
*2:こうする必然性は,特になかったのですが,「MS 明朝」と書いた箇所のフォントは「MS P明朝」です.以下同じです.