「さて,4人とも乗ったか? ママ来たら出発…といきたいんやが,うえの子よ」
「なに,パパ?」
「お前,助手席かいな」
「そうやけど」
「ママが2列目に行けって言いおるぞ」
「ええもん.もうシートベルトしたし」
「…」
「(パンフレットを見ながら)パパぁ」
「何や」
「めい…しん高速道路って,知ってる?」
「ん? 名神か,知ってるよ」
「じゃあ,しんめいしんは?」
「新名神やな.知ってるよ.我々はあんまし使わんが…」
「とうかいほくりくどうは?」
「東海北陸道かな.一宮を北上して富山まで行くやつ」
「とうめいはん…?」
「おいおいそれは,東(ひがし)名阪(めいはん)や」
「そうなん?」
「そうなんやで.西(にし)名阪(めいはん)もあるし」
「…」
「せやけど東名阪と西名阪に挟まれてんのは,名阪国道っちゅうねん」
「じゃあパパ,いせ…えっと…」
「そこで止まるっちゅうことは,伊勢湾岸道やな,伊勢道やのぉて」
「それそれ! あとな,なんとかつるわかなんとか」
「舞鶴若狭道のことか」
「まいづるって言うんや…」
「京都の北部と福井の西部の,日本海沿いを通る道やな」
「すごいなあ」
「まあいろいろ道が整備してあるおかげで,我々もいろんなところに行けるんや」
「とか言うてると,ママが来たが,2列目でええんやな」
「(後方のドアを開けて)しゃあないやん.この子,助手席でシートベルトしてんのやろ」
「せやねんなあ.えっと,今日の行程は…まず昼食,んでプール,やな?」
「合ってるよ.安全運転,よろしくやで」
「おっしゃ,戸締まりおっけー,発車オーライ!」
「パパ,今日高速乗れへんの?」
「ぜ〜んぶ市内やで」