わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

切り取りといえば最大公約数,敷き詰めといえば最小公倍数

いきなりですが問題です.

縦18cm,横24cmの長方形の紙から,正方形をあまりが出ないように切り取るとき,いちばん大きい正方形の1辺の長さは何cmですか.

元ネタは以下のPDFファイルです.

さっそくですが解答です.以下のように切り取ると,1辺の長さが18cmの正方形が1つと,1辺の長さが6cmの正方形が3つ,作ることができます.だから答えは18cmです.
*1
一般化して「縦の長さがa,横の長さがb(ただしa<b)の長方形から,正方形をあまりが出ないようにして切り取るとき,一番大きい正方形の一辺の長さ」はaとなります.a×bの長方形から,a×aの正方形を切り取ったら,残りはa×(b-a)の長方形となりますが,1×1の正方形をa(b-a)個作るのでもいいし,aと(b-a)の最大公約数をdとおけば,d×dの正方形を(a/d)・((b-a)/d)個作る---冒頭の問題であれば,a=18,b=24,b-a=6,d=6で,6×6の正方形が3個できる---というのでもかまいません.
ただしここまで書いた解は,元ネタの指導案で意図するところではありません.2ページ目には,「右のような画用紙から,同じ大きさの正方形を,あまりがでないように切り取ります。いちばん大きい正方形の1辺の長さは何cmですか。」とあります(そして画用紙は縦18cm,横24cmの長方形です).「同じ大きさの正方形」というのであれば,18と24の最大公約数は6ですので,6cmが答えとなります.図はこうなります.
*2
最小公倍数に相対するものと言えば,最小公倍数です.ということで問題です.

縦4cm,横6cmのカードがたくさんあります.同じ向きに並べてしきつめ,正方形をつくります.縦に何枚,横に何枚並べたとき,一番小さい正方形ができますか.そのときの正方形の1辺の長さは,何cmですか.

こちらは元ネタの前に解答です.4と6の最小公倍数は12です.だから,一番小さい正方形の1辺の長さは,12cmです.この正方形ができるのは,12÷4=3より縦に3枚,12÷6=2より横に2枚,並べたときです.
といったところで元ネタです.

あれれ….「4と6の最小公倍数の24」って,そんなことはありません.4の倍数を小さい数から「4 8 12...」と列挙し,6の倍数を小さい数から「6 12...」と列挙するのを見ると,24より小さい公倍数(そして4と6の最小公倍数)である12に,○をつけないといけません.
12cm×12cmの正方形とともに,自分なりに図を作ってみました.
*3
小学生が手を動かしながら,学ぶことのできる倍数(0を倍数に入れないようにしながら)・公倍数・最小公倍数として,思い浮かんだのが「敷き詰め」です.そこで事例調査をしたところ,上のような出題を見かけたのでした.
なお,『小学校算数板書で見る全単元・全時間の授業のすべて5年〈上〉』には上記のような出題は見当たらず,倍数と公倍数の導入はpp.128-129です.そこでは,1人が「わりたわりたわりたわりた…」,もう1人が「みやしたみやしたみやした…」を,1音ずつ同時に言うと,ともに「た」と言うのは12番目,ということで3と4の公倍数は12,と学習します.1枚めくると(pp.130-131),「あきしまそう」と「きくもとてつたろう」を同じように言うのなら,ともに「う」を言う*4のは,6×9=54よりも前の,18番目でして,このことを,6と9の最小公倍数と結びつけています.

*1:1cmを15pxに対応づけて,あとはいつものようにワンライナーで:convert -size 370x280 xc:'#f0fff0' -fill '#f0f0ff' -stroke blue -strokewidth 3 -draw 'rectangle 5 5 365 275' -fill none -strokewidth 1.5 -draw 'line 275 5 275 275 line 275 95 365 95 line 275 185 365 185' -quality 92 box1.jpg

*2:convert -size 370x280 xc:'#f0fff0' -fill '#f0f0ff' -stroke blue -strokewidth 3 -draw 'rectangle 5 5 365 275' -fill none -strokewidth 1.5 -draw 'line 5 95 365 95 line 5 185 365 185' -draw 'line 95 5 95 275 line 185 5 185 275 line 275 5 275 275' -quality 92 box2.jpg

*3:convert -size 370x370 xc:'#f0fff0' -fill '#f0f0ff' -stroke blue -strokewidth 3 -draw 'rectangle 5 5 365 365' -fill none -strokewidth 1.5 -draw 'line 5 65 365 65 line 5 125 365 125 line 5 185 365 185 line 5 245 365 245 line 5 305 365 305' -draw 'line 95 5 95 365 line 185 5 185 365 line 275 5 275 365' -stroke red -strokewidth 3 -draw 'rectangle 5 5 185 185' -quality 92 box3.jpg

*4:これまた授業の意図から離れますが,両者に出現する「き」について,どれだけ繰り返しても,ともに「き」と言うことがないのはなぜか,小学生に考えてみてほしいところです.