12月8日,情報知識学フォーラム*1のプレイベントとして,卓話会*2が催されました.
西脇二一(にしわき にいち)先生が,「地質学分野における情報化と問題点」と題して,PowerPointのスライドをもとに1時間ほど解説をされ,その後は30分ほどディスカッションです.
地質学とは何かについて,wikipedia:地質学は参考になるところですが,スライドでは書籍の図をとってきたのか,細分化された「○○学」を並べていました.高校で学んだ理科のうち,地学がもっとも関連するとはいえ,広義の地質学となると,生物も,化学も,物理も必要とします.配布資料には「関連分野を総動員する総合科学」と記されていました.
個人的に高校のときに「プレートテクトニクス」の語を学習していましたが,「地質学の発展」というタイトルのスライドにも,書かれていました.それより前には「地向斜論」というのが支持されていたことや,さらに新しい学説として「プルームテクトニクス」というのがあるというのは,興味深いところでした.
お話しは,情報技術の発展に応じて,新しいデータや技術(化石のDNA,GPSを用いた位置情報など)を導入しながら地質情報が整備されてきたと展開していき,もっとも時間をとって解説されたスライドは,「情報処理の高度化とそれに伴う問題点」についてでした.
以下は,配布資料に書かれていなかった個人的なメモ書きで,いずれも研究者の態度・行動として,よくないものばかりです.
- 自分の考えに合うデータだけを採用する
- データを「これはおかしい」と安易に消してしまう
- 結果が,期待するモデルに合っていたら,検証しない(合うからこそ検証すべきなのに)
- 小数点以下を切り捨てる(有効数字を考慮しない)
- 「機械がデータをとっているから正しいんだ」と考える
- 解析システムの使用において,途中の数字を見ていない
「べからず集」にとどまることなく,研究に関してどうあるべきかについては,次のメモ書きが,大事なところのように思えました.
- 「おかしい」「矛盾」があれば,その理由を考える.矛盾があって学問が進む
もう一つは,倫理規範の必要性です.規範を定めておくことは,日々の研究の実施において,また専門的・科学的コミュニティのメンバとして,不可欠なものと指摘されていました.
自分の所属する学会のうち,電子情報通信学会についてはhttps://www.ieice.org/jpn/about/code.html,情報処理学会についてはhttps://www.ipsj.or.jp/ipsjcode.htmlより,倫理綱領にアクセスできます.
今回開催の学会(情報知識学会)に,「倫理」を組み合わせて検索したところ,「情報倫理」「工業倫理」を見かけたものの,倫理規範・綱領というのは,見つけられませんでした.
この卓話会を機に倫理規範の策定をしよう,と直ちには進まないでしょうが,学会としてというよりは一個人として,研究活動に責任を持つことの必要性・重要性を考える機会となりました.