いきなりですが問題です.
四角形があります.
1組の対辺が等しく,もう1組は平行です.
この四角形は,平行四辺形ですか?
さっそくですが解答です.平行四辺形であるとは言えません.等脚台形は,「1組の対辺が等しく,もう1組は平行です」が,平行四辺形ではありません.
つづいてですが問題です.
平行四辺形があります.
隣り合う2つの辺の長さがaとbで,4つの角のうち1つがΘです.
この平行四辺形の面積を,式で表しなさい.
これについても解答です.面積はとなります.「4つの角のうち1つがΘ」と書きましたが,他の角は,180°-Θ,Θ,180°-Θとなり,0°<Θ<180°の範囲でsinΘ=sin(180°-Θ)ですので,どちらの角のsinでもよいと言えます.なお,三角形の面積()の場合,Θは,aとbの辺を挟む角としないと適切に求められません.
なぜとなるかについては,底辺をa,高さをとして,小学校で学んだ,平行四辺形の面積=底辺×高さの公式に当てはめればおしまいです.平行四辺形の面積の公式使用禁止という場合には,長方形に帰着するといいでしょう.
それでは,本日のメインエベントです.
以下の斜線を施された図形は,平行四辺形と言えるでしょうか.
またそのとき,面積を求めなさい.
元ネタは,http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387014.htmよりダウンロードできる【算数編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説のp.257です.
現行の解説にも同様の図があるのですが,左の縦線が1つで5cmとなっています.右の2cmの縦線の対辺の長さが2cmであると明示されていないため,図のみでは,平行四辺形であることが保証されません.「斜線を施された図形は平行四辺形です.面積を求めましょう」といった形で,指定しないといけなかったのでした.
説明のため,5つの点に,以下のとおりAからEまでを割り当てます.
素直な解答を書いていくと,次のようになります.まず四角形ABCDは平行四辺形であることを示します.AE⊥EC,EC⊥DCなので,AE∥DCです.AB=DC=2cmです.「1組の対辺が平行であり,かつその長さが等しい」という,平行四辺形の成立条件により,平行四辺形であることが確認できました.
次に面積は,底辺をAB=2cmとしたとき,高さはEC=4cmです.したがって底辺×高さ=8㎠となります.
…これでおしまい,めでたしめでたしと言えればよかったのですが,良くありません.というのもこの解答は,左端の2cmと3cmの線分が,同一直線上にあること,言い換えると3点A,B,Eが同一直線上にあることを,前提としています.しかし図において,そのことは保証されていません.BE⊥ECとEC⊥DCは,図から得ることのできる情報ですので,点Aを少しずらせば,AB∥DCが,満たされないことになります.
「BはAE上の点である」または「半直線AB上に点Eがある」と明記されていれば,上記の素直な解答でかまいません.「図より明らか」には,くれぐれも注意したいところです.
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