某年月日,子らの小学校で運動会が挙行されました.
なのですが,自分は見に行っていません.雨の影響で,平日開催となったからです.その日に限って,授業その他の行事が詰まっていました.
うえの子の小学校最後の運動会ということもあり,実家の母が来ることになりました.妻に和歌山市駅まで迎えに行ってもらうよと,電話で軽く言うと,母は電車を乗り継ぎ,最後は少し歩いて,小学校へ行くことにこだわりました.こういう母の意思を翻すのは難しいものです.延期になって,開催日までに何度も電話をしました.迎えに行きますからという,まずは妻,そして(妻の)父や母による電話の声が階下で聞こえていても,空虚なものでした.
ともあれ,妻と(実家の;以下略)母との待ち合わせについては,取り決めておかないといけません.はじめの母からの要望は,「門」でした.しかし「門」では曖昧ということで,運動会のグラウンドの「退場門」となりました.このことを,妻にきちんと伝えていませんでした.
当日,開会式の開始前に,妻から電話が入ってきました.授業中でなかったのが幸いでした.取ると,「お母さんと合流できてないんやけど」.
次(に電話がかかってきたとき)は,「お母さんの携帯に,電話かけてくれへんかな」.
かけました.つながりませんでした.妻に知らせると,さらに要求が来て,母と住まいが近い兄にも電話しました.互いに言葉には表しませんが,一人暮らしの母が,これから孫が活躍するという日に自宅の一室で事切れている状況まで,想像しました.兄も仕事中でしたが,午後のある時刻までに連絡がなければ早引きして母の家を見に行くという展開になりました.
スマートフォンをずっと手にして,学食でランチをとり,仕事場に戻っても着信がないのを見てから,妻に電話すると,声色がこれまでと異なっていました.
良かった話と悪かった話があります.良かった話というのは,小学校で妻と母が無事に合流できたことです.悪かった話というのは,一つは「退場門のところで待ち合わせ」というのが妻にきちんと伝わっていなかったこと---妻は小学校のいくつかの校門とグラウンドを行きつ戻りつしたとのことで---,もう一つは,合流できない状況で妻も母も互いに心配し,子らの活躍をじっくり目にすることも,写真を撮って残すことも,ままならなかったというのです.
帰宅して平謝りし,子らに,あっちのおばあちゃんが観に来てくれてよかったなと言ったところ,最初に反応があったのは,すえの子でした.自分の競技がないときは退場門に近いところに座っていて,開会式が終わった直後くらいに,あっちのおばあちゃんがいたのに気づいていたのでした.
うえの子の演技は,事前配付のプログラムからは何をするのか分からなかったのですが,観た妻が「ひとり組体操やんかあれ」と言っていました.いくつか写真も見ました.一人技ばかりでした.