わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

かけ算の順序不要論を,授業で

 いきなりですが問題です.次の意見に賛成か反対か,理由を付けて答えてください.

(意見)「6人のこどもに,1人4こずつみかんをあたえたい.みかんはいくつあればよいでしょうか」という文章題に対し,式に「6×4=24」を書くと不正解になる事例が報告されている.
 しかし乗法は交換法則を満たすので,どの順序で書いても不正解にすべきでない.小学校2年生の算数教科書では,「1つぶんの数×いくつ分=ぜんぶの数」として,かけ算の導入がなされるというが,1つぶんの数を決めつけるのはよくない.かけ算の式の順序では,文章題の意味を理解しているかを判別できない.
 これを不正解とすることは,多面的にものを見る力や論理的に考える力を育てることに悪影響を及ぼす.以上より,かけ算の順序は不要である.

 元ネタはもちろんwikipedia:かけ算の順序です.
 授業で同じように出題しました.といっても「かけ算の順序」は使いません.Cプログラミングに関する「あること」---来年度以降も出題する予定なので名称は差し控えます---について,出典を挙げず,上記と同様に不要とする理由を並べて,「以上より~を使う必要はない.」で意見を締めくくりました.
 出題は先週木曜日でした.Moodleで提出してもらい,期限後に回収・採点しました.賛成のみ,反対のみの解答はなく,理由を読んで,いいところを突いていると思った答案には,加点のための印を付けておきました.
 答案として,「賛成」の方が,書きにくかったように思います.理由というのが,意見のそれぞれの主張に賛意を示すか,自分のプログラミング経験と結び付けた答案になりがちでした.
 それに対し「反対」のほうは,意見の一つに反論するのもありましたが,むしろ,各意見に言及することなく「あること」の意図や意義を示すというのが,多く見られました.
 この点は,意図していたところでした.すなわち,「不要論」を目にし,「○○は,必要か,不要か」という二者択一を迫られがちな状況において,「○○は(△△において)有用」という主張をすれば,これが不要論の反対意見となり,二者択一から逃れられるのです.


 冒頭の問題に対して,答えはあえて書きません.サブブログと,昨日読んでなるほどと思った記事より抜粋します.

 ここの「被乗数と乗数の順序に意味がある」について,2種類の解釈ができます。一つは,「3×4=3+3+3+3であり,4×3=4+4+4なのだ」と,被乗数と乗数の順序に,意味が定められている,というものです。
 もう一つの解釈では,「に意味がある」を「は重要だ」と置き換えます。英語でぴったりの単語があり,自動詞のmatterです。授業事例が英文になっています。

動詞のmatterは否定的に使われることが多いので、日本語で言うなら「doesn't matter」の方を軸に「どうでもいい」という意味だと考えて、逆に肯定文のmatterは、「どうでもよくなんかない」と訳してみたらどうか


 本記事のその後の状況について,リンクしておきます.