わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

転送速度か伝送速度か,それとも

「データ転送速度とは,単位時間あたりにどれだけのデータ量を転送するかを言います.
 『速度』と表記しますが,データが『どれだけ速く到着するか』ではなく,『単位時間にどれだけ多くのデータが通過するか』を表しますので,注意してください.
 単位時間は多くの場合,『秒』を採用し,転送速度の単位には,1秒あたりのビット数を意味する『bit per second』,頭文字をとって『bps』がよく使われます.日本語だと『ビット毎秒』です.
 インターネット通信だけでなく,USBなど,PCの機器における通信でも,使用されます.
 『伝送速度』『回線速度』『通信速度』と書かれることもありますが,『転送速度』と同義語と思ってください…
 と言いたいのですが,使い分けもあります.Googleで検索したところ,出現数の最も多いのは『転送速度』でした.ですので基本的に,データを送るときの速さを,四字熟語で表す場合には,『転送速度』としましょう.
 『伝送速度』は,有線や無線の通信の規格や,ネットワークケーブルなどの製品の情報で,よく目にします.規格や製品の仕様としての最大値です.実際にデータを通すと,その,伝送速度よりも小さくなります.ITパスポート試験という,情報処理技術者試験の一つの区分の試験問題では,『伝送速度が20Mbps,伝送効率が80%の通信回線において...』なんて表現をとったりします.この場合,実際の伝送速度は,20Mbpsの80%,0.8ということで,16Mbpsとなります.
 使い分けに戻りましょう.『回線速度』は,『回線』の『速度』です.データを送信する機器から,受信する機器までの間に,現実にはさまざまな経路や媒体を通るのですが,それを1本の線と見なして『回線』と呼ぶこととし,その『回線』における,データの伝わる速さを言います.
 『通信速度』は,『回線速度』とほぼ同じ意味,と思っていいのですが,送信する機器と受信する機器,いわば両端ですね,そこに着目して,それらの間で『通信』する『速度』となります.
 といったのと比較すると,『転送速度』は,『転送すること』,言い換えると『送りたいデータ』を中心に考えて,その『速度』を意味するのだ,と言うのがよさそうです.
 先ほど,『転送速度』は『データがどれだけ速く到着するか』ではないと言いましたが,それでも,小学校の算数で学んだ『速さ』と同じような相互関係があります.具体的には,『転送速度』『データ量』『時間』という,3つの数量の間の,かけ算またはわり算の関係です.
 『転送速度とは,単位時間あたりにどれだけのデータ量を転送するか』は,

  • 転送速度 = データ量 ÷ 時間

という式で表されます.この式を,『データ量イコール』の式に変形すると,

  • データ量 = 転送速度 × 時間

となります.『時間』について解くと,

  • 時間 = データ量 ÷ 転送速度

です.この3つの式を活用して,転送速度に関する計算問題を解くといいでしょう.
 一点,注意してほしいことがあります.『ビットとバイトを混同しないこと』です」

あるネットワークを使用して,3.6MBのファイルをダウンロードするのに1.8秒かかったとき,ネットワークの回線速度は何Mbpsか.

「という問題に対して,3.6÷1.8=2だから,答えは『2Mbps』,とすると間違いです.求めた値は『2MB/s(メガバイト毎秒)』であって,Mbps,メガビット毎秒では,ないのです.
 『転送速度 = データ量 ÷ 時間』の式に当てはめる前に,データ量は『ビット』にしておくことを,お勧めします.3.6MBをビットにすると,8倍して,28.8Mbitです.秒の1.8で割ると,割り切れて16と求められ,『16Mbps』が正解となります」

今年は何をした

 上記は1年向け情報リテラシー科目の説明です.
 例年,「転送速度」の計算問題は,授業中の課題で1問と,次週までの宿題で1問に分けていたのですが,授業中に間違えて(例えばビット・バイトの変換を忘れてしまって)答案を提出したときに,宿題を解いたときにも同じ間違いをしてしまう可能性があることに気づきました.
 そこで,「転送速度の計算」と題するPowerPointファイルを新規に作成し,ナレーションを入れて作った動画は,宿題と同時に公開するようにしました.
 「伝送速度が20Mbps,伝送効率が80%の通信回線において...」の元ネタはhttps://www.itpassportsiken.com/kakomon/02_aki/q95.htmlです.