「パパぁ,晩ごはん,できてるよ!」
「あ…さきの子か.降りよか.みんなで晩ごはん,やな」
「うちもう食べてん」
「早いなあ」
「なになに,今日の晩ごはんのおかずは,餃子と,野菜炒めか」
「そいで子どもらは…たしかに,さきの子と,あとの子は,食べ終わっとるな」
「そうやねん.何かテレビが見たい言うて」
「へえ.すえの子は?」
「あの子もテレビ見てるんよ…ちょっと,すえの子ちゃん! こっち来て,晩ごはん,食べなさい!!」
「…はぁい」
「あ,来おった」
「…けど今日,ばんごはんいらんわ」
「ありゃ.夕方に何か,飲み食いしたんか?」
「そうやねんこの子らねえ…」
「そういうわけじゃないよ.食よくないねん」
「食欲ないんか…ま,無理して食う必要はないかな」
「せっかくおばあちゃんが作ってくれたのに,もお!」
「ママよ,すえの子の分の,ご飯は炊飯器に戻せばええと思うが,おかず,どうすんの?」
「パパ,食べる?」
「いやぁ,パパは自分の分だけでええよ」
「じゃあ,双子ちゃんかな…さきの子ちゃん・あとの子ちゃん! すえの子ちゃんの餃子,食べちゃってくれるかな」
「うお,2人が,淡々と,だけど燦々と,やって来おったぞ」
「パパ何かボケた?」
「いや何でもないぞ.さきの子はすえの子の右に,あとの子は左に座ったか」
「んで餃子を1個ずつ取って口に入れて…」
「残り1個,どうすんの? パパに差し出してもあかんよ! いらんねんから! …」
「ほな…(箸で餃子を2等分して),食べるか.って,あっちゅう間やな」
「すえの子よ,ええ双子のお姉ちゃん持って,良かったな」
「すえの子ちゃんぜんぜん喜んでないんやけど」
わんもあ
「暑いからクーラー入れてたんやが…入ってきた瞬間に,左右に手ぇを伸ばして,涼しさを全身で表現するの,さきの子とあとの子だけやぞ」