「あ,ええとこにママ来た」
「どしたん」
「ここのテーブルの上,きれいになってるやんか」
「うん,あたしが片付けたよ」
「そこに,食べ物,置いてたんやけどな」
「…」
「プチカップケーキ4個入りっちゅうのが要注意物品で…」
「買うて,リュックサックに入れてたんを思い出して,袋から1個,出したら…」
「油っこいのなんのって!」
「食べたん?」
「捨てるわけにいかんかったから,そこの紙をはがして,口に入れたよ」
「そしたらもお,口の中パッサパサも吹き飛ぶくらいにベッチャベチャやったし,手ぇも汚れたし…」
「夜に食べたらあかんねんで,っていうてくれたんやね,そのお菓子は」
「なるほどなあ.やのおて,4個入りで1個しか食わんと,テーブルに置いてたんやが,しっかりなくなってんねんな.けど,さきの子もあとの子も,聞いたら,食べてないよって答えんねん」
「それねえ,あたしが見つけて下に持ってったんよ」
「ありゃ,そっか.んで,食たんか」
「あたしは食べてないよ.おじいちゃんが食べて…」
「(まあ,おじいちゃん(妻の父)ならええか…)」
「やっぱり,手ぇ汚してた」