「んと,さきの子か?」
「そうやで!」
「今日もまた,図書館でお勉強か?」
「これから行くねん.おじいちゃんの車に乗って…」
「そっか.試験前やし,家で勉強が捗れへんのやったら,図書館で頑張ってな」
「あのさあ,その箱…何?」
「これなあ.靴やねん.昨日イオンモールの靴屋さんで1足購入して,箱のまま,持って帰ってきたんやが」
「見ていい?」
「パパが開けるよ…中の詰め物は取って…タグの紐はハサミで切って…ま,こんなんやな」
「きれいやね!」
「ま,買うたばっかりやし.そうそう.紐を通す穴にな,ゴムが通ってて,紐で結ばんでええようになってんねん」
「履いていい?」
「あかんに決まってるやろが.パパのやし,お前履いたらたぶん,ブッカブカやぞ」
「え~何してるん~?」
「などと言うてたら,あとの子が参戦してきたぞ」
「パパがな,この靴,履かせてくれるって」
「そんなこと言うた覚えはないんやが」
「え~あたしも履きたい~」
「いやいや」
「じゃあ片足ずつね」
「どないなっとんねん」
「うち左足やで」
「どっちゃでもええがな」
そうこうして,自分から見て左側のさきの子が左足,右側のあとの子が右足の靴を履きました.
「ブッカブカやろ」
「そうやな」
「いやそうでもないで」
「靴下が分厚いんかな」
「そうかも」
「って,下から声がしてきたぞ.車に乗るんやろ?」
「あっそうやった!」
「ちょっとさきの子ちゃん,置いてかんといてえよお.靴,脱げやんやんかよぉ」
「靴下が分厚いと脱ぐにくいか.ほら!」
「あっパパありがとう.行ってくるね~」
「はいはい,いってらっしゃい」
階下が静かになってから,玄関に靴を持って行き,履いて外出しました.3千歩程度では,まったくなじめません.