「そうやねん,ごいやねん!」
「そうやったんか〜.でも大会は,まだ先なんよね?」
「うん」
「がんばりや!」
「…何やなんや」
「パパ,どしたん」
「ママとさきの子とで,何を話してたんか,よお分からんのやが」
「えっとね,保育所で,コマ回し大会やるねんて」
「へえ」
「それで,今日わの練習会で,あとの子ちゃんが1位,さきの子ちゃんが5位やってん」
「ふ〜ん,あれか,回ってる時間を競うんか?」
「そうやろね」
「あと,あとの子が1位って,すごいやないか」
「あの子には帰ってからずっと褒めたったんよ」
「そいで今は,さきの子ってか.それとやな…」
「何か?」
「5位ってか」
「それねえ.あの子らの,年中さんのクラスで,今,コマが回せるのが5人だけでな」
「…その中の5位,か」
「そういうことやって」
「あのなパパ,ちょっとだけ,まわってん!」
「そっか,本番まで,しっかり練習せえよ」
「うん!!」
「さきの子は素直でええなあ」
「この子は伸びるで」
「そっか」
「パパ! パパ! きいてえ!!」
「とか言うてると,あとの子か」
「きょおなあ,ひゃっかい,まわってんで!!」
「おお,すごいなあ.何か知らんがお前,コマを知り尽くしたみたいやなあ」
「それはそうとして,あとの子よ,お前,1位やってんて?」
「○○ちゃんも,いちいやで〜」
「1位タイってか.今,コマがあったら,いっぺん回してくれへんかな?」
「ないねん」
「保育所のんか?」
「いや,持って帰って,練習していいってなってたから…明日,持って帰ろっか?」
「うん!!」
「そっか.どんな風に回すんや? まさか,軸を指で持って,ぐるんと回すんや,ないよな?」
「ひもやでえ」
「紐を使うんか,本格的やな.パパも(今でいう年長1年間だけの)幼稚園で,年が明けてから,やったなあ…」
「(しぐさをしながら)ひもを,こうやってまいて…」
「せやな,そんなんやな」
「それで,えいっ! ってひっぱんねん」
「ちょっと待て,引っ張るんか!?」
「そうやで」
「ひっぱんねんで」
「コマを,投げるんとちゃうんか?」
「それはねんちょうさん」
糸引きごま,というらしい: