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大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

英語と初年次教育

英辞郎 第四版 (<CDーROM>(HY版))

英辞郎 第四版 ((HY版))

新しい版が出るたび,買っています.まだインストールしていません.
英辞郎のバージョンは112で,ダウンロード購入している111と一つしか違わないのですが,PDICが「PDIC/Unicode」となっているのに驚きました.

初年次少人数教育について,いくつかの大学で行っている方法を知ることができました.
自分の学部でも,2002年度から実施しています.ただし,

  • 助手(現在は助教)を含む全教員が担当
  • 教員は基本的に2年に1回担当し,1回で受け持つ学生数は7〜8名程度
  • 教員と学生の対応付けは,学籍番号から機械的に決められる
  • 出席回数重視(4回欠席で不合格)
  • レポート2回,プレゼン2回を課し,具体的な授業内容は担当教員に委ねる*1
  • 専門教育をしてはならない

というもので,上記書籍の主要な大学で行われている

  • 教員の専門性に基づき,しかも1年生が履修可能な(学年・学部を限定しない科目も)授業テーマをボランティア的に提案する
  • 学生の希望により受講を決める
  • 一つの授業で受け持つ学生数は20名程度

というのと違っていて驚きです.専門性の有無もさることながら,人数が違います.10人を「より少人数」というのが,自分としては信じられません.今の基礎教養セミナーのやり方で,1教員が20人を受け持つというのは到底無理で*2,12人(名古屋大学,p.17)というのでも,時間割(特にプレゼンの授業回数配分)を見直さないといけません.
ただし,本学部については,単なる初年次少人数教育ではなく,「出席する習慣を作る」「入学して早いうちに,教員と親しくなっておく」といった意図もあります.後者については,半期ごとの成績表や履修時間割表の配布でコミュニケーションをとるという形で実現しています.ついでに,書類が教員の目を通るためきめ細かい指導ができるという効果があります.専門テーマに基づく授業だと,科目を終えればおしまいになりそうで,実際,同書pp.132-136で「(2)初年次少人数教育と学部専門科目とのリンケージ」として,パネルディスカッションでの3つの「論点」の2番目にあがり,各参加者の回答が文章になっていました.
ともあれ,我々のようなやり方の初年次少人数教育がなぜ他の大学で行われていないのか,気になりつつ,読み進めると,興味深い記述に出くわしました.

これは前掲の毎日新聞神戸支局編『神戸大学』によると,教養部発足時からあった「指導教官制度」が前身である.これは,もともとは教養部の履修届のハンコをつくとか,成績表を返すとかいった役割の,かつての大学教養部どこにでもあった制度に近いものであった.つまり,「全学生を機械的に振り分け,教官1人を指導役としてつけた.大学でのホームルーム,担任制である.……(中略)……ところが大学紛争では『指導教官制度』は無力さを露呈.……(中略)……『やりこめられている教官が学生を指導するわけにはいかない』という理由などもあって,この制度は中断された.紛争が収まった46年,復活を求める声が出て,『G』の名称で再開した.しかし中身はまったく違った
(前掲書,p.176.なお「……(中略)……」は原文ママ)

「やりこめられている教官」とまでは行かなくても,学生にとって教員が当てにならないと思われてしまうようなことになるのは,まずいですね.

*1:完全自由ではなく,回数を重ねるごとに,ノウハウは蓄積されています.図書館などの施設見学や,講演への参加なども,授業に組み入れるようになりました.

*2:大学によってはTAがつくとのこと.そういえば自分が基礎教養セミナーで学生を持ったとき,上回生に協力してもらったこともありました.