わさっきhb

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PowerPoint教育

パワーポイントのつづき: やまもも書斎記
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PowerPointを大学の教育にどのように活用すべきかについては,次の3つの問題に切り分けるべきかと思います.

  1. 教員がどのようにして授業資料を取りまとめ,実際の授業で使うか.
  2. 学生が使いこなせるよう,どのようにして指導すればよいか.
  3. PowerPointに限らず)教員が学生時代に学んでいないことをどのように習得し,どのように学生に指導すればよいか.

1に対する個人的見解は,前回の記事でもリンクしましたが,PowerPointの授業資料について考える - わさっきにまとめています.あと,PowerPointを用いた授業には,「学生が要点をつかめないうちに,次のスライド(次のトピック)に移ってしまいがち」「部屋を暗くすると,学生がノートをとりにくい」という欠点があります.
2については,プレゼンテーション教育の中に組み入れるのが自然ではないかと考えています.PowerPointでスライドを作る能力と,それを使ってプレゼンする能力は別…ってどこかで似たことを書いた記憶が…プログラミングの学習と学修 - わさっきでした.
3について,PowerPointに限って言うと,私自身これは今の大学に来て使い始めました*1.とはいえ,教員は絶えず新しいことを学んで自分のものとし,自分なりの視点を付け加えて,研究なら他の研究者へ,教育なら受け持つ学生に伝えることが要請されているわけですから,「自分で習得し,学生に指導する」のは当然のことです.「どのように」は難しい問題です.
当学科の事情を書いておきますと,1年前期開講の情報処理Iという計算機リテラシーの科目で,今年度から,WordとPowerPointの指導が入り,担当の先生のご苦労を拝聴することがありました.それまでは,「Word/Excel/PowerPointは授業で教えるのではなく,自ら学んで使うようになるのが当然だ」という考え方が支配的でした.
同じ1年前期の基礎教養セミナーという少人数ゼミで,2回のレポートと2回のプレゼンが課されているため,多くの教員が,PowerPointによる資料作成と口頭発表を入れています.
授業と別に,年に何度か,学科の各教員がPowerPointを使った口頭発表を行い,相互に見聞きする機会があって,勉強になります.
一つだけ引用を.

私は、運がいいというべきかどうか、先生と、ほぼ1対1(個人授業に等しい)という場面が多かった。そこでは、な〜〜んにも教えてくれなかった。「君、この本を読みたまえ」「この辞書をひきなさい」で、終わり。
ただし、なんとか頑張って、変体仮名が読めるまで、なんとか昔の辞書「古辞書」がひけるまで、30分ぐらい、じ〜〜っと、待っていてくれる、先生だった。
今の学生にこんなことをしたら、「先生に精神的苦痛を受けた」と、訴えられかねない。(本当に、冗談ではなくそう思う)。

私も,大学院生時代の勉強・研究は,手取り足取り教えてもらったことがありませんでした.こちらから報告して,そこからアドバイスをいただくというスタイルでした.
B3のときの演習で,grepを駆使してファイルから素早く必要な情報を見つけた先生と,実験の授業中に「Perlはいいねえ」とおっしゃった先生のことを,強く覚えています*2

*1:それまでは,学会発表の映写媒体は「OHP」で,サランラップみたいな透明のシート(TP)に,普通のプリンタで印刷したものを重ねて,特別な機械でパシャっと焼き込みました.そのうち,プリンタに直接印字可能なOHPシートを使うようになり,2002年までは,ノートPCにpptファイルを入れたものと,OHPシートをともに持ち運んで学会発表に行っていました.

*2:今の立場になって,迂闊な一言一挙動を,学生に変に覚えられてしまうかもしれません.