わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

当研究室を希望する学生がいない

数年〜十数年後を妄想してみました.
自分の研究室を持つようになって,早幾年.
公私にわたってお世話になった教授はすでにご定年.何かと甘えさせてもらった同僚も,ほかの大学へご栄転です.
その分,新たな教員も着任されて,そのたび刺激を受けながら,うちのところも研究室運営,学生指導をやっています.
日々の仕事が楽しいのは,研究が面白いからでしょうか.毎年,それなりの成果を出せていますし,外部資金も悪くありません.重要な締切の直前には,夜遅くまで仕事場にいるのも,相変わらずですが,妻のバックアップ,娘の笑顔には,感謝感激です.
学生の口頭発表も,回数,質とも充実しています.そういえば,卒業研究・修士論文が,単なる合否ではなく,指導教員以外の教員(学生ひとりにつき3人以上)による100点満点の平均で求めるようになったのは,いつからでしたか.はじめは内心そんなこと数値化してもなあと抵抗していたものですが,もう慣れました.私が受け持っている学生は総じて全学生の平均以上で,研究の進め方,プレゼンや質疑の仕方に問題がないということなのでしょう.
先日,3年生の研究室配属が終わったところですが,これは毎年胃が痛みます.今年もでした.
配属の方法は長いこと変わっていません.後期授業の直前,9月末のある1日に学生には講義室に詰めてもらい,研究室あたり数分で研究紹介.午後はオープンラボとして,研究室を自由に訪れてもらいます.
オンラインで希望研究室を書いてもらい(1次希望),期限が来たら,面接です.定員を満たす満たさないにかかわらず面接です.1人以上の希望者があれば面接です.希望者の数が定員以下でも,面接して,教員側の判断で受け入れなくてよいというのは,かつてとの大きな違いかもしれません.ともあれ,面接で「落ちた」人は,2次希望で,空きのある研究室に希望を出します.
なぜ胃が痛むのかというと,私の研究室には,1次希望で来るという学生がいないのです.それも3年連続.
面接待ちの学生による張り詰めた空気の廊下を通りながら,私はマイペースに研究や後期授業の準備をしていますが,なんでうちとこ来んのやろと,不安は隠せません.
2次希望でやっと,ひとりかふたり.定員の半分になれば,いいほうです.
来たら来たで,みっちり指導し,それと学生同士の縦横のつながりもあって,卒業には申し分ない成果が出せるのですが.就職も,いいとこ行けています.
配属確定の学科の会議を終え,自室に戻ろうとしたら,学科長に呼び止められました.
予想通り,配属者数のことでした.同情と,励ましのアドバイスをいただきました.研究内容も,紹介も悪くないのに,どうして学生さんが来ないんですかねえと.
授業はどうかねと質問されました.たしかに,配属までに学生が教員の顔や性格などを知る機会といえば,講義・演習を含めた授業です.しかし授業も,皆が避ける原因になるものが思い当たりません.かつては授業の中に余談をふんだんに取り入れ,ストーリーに膨らみを持たせていたのですが,学生評価アンケートで2年連続で問題点としてあげられたほか,学長の通達で授業と関係ないことは言わないようにというのが来たこともあり,淡々と説明するよう心がけています.しかしそこは,学生が来ない原因にならないでしょう.他の教員もそうなのだから.
学生同士の縦横のつながりが,研究室配属前にもあるのかもしれません.前評判といいますか.
あとこれは,学科内で声を上げることができないのですが,各研究室の1次,2次の希望者数と最終的な配属者数を,廊下に張り出すのは,好きになれません.それと,希望を書いてもらうときの研究室名の並べ方も.前の年度の配属者数でソートされています.新規の研究室は,多く学生を採れるようにと上位に配置されることもあり,うちの研究室は3年連続最下位です.
授業は,シラバスに即しながらも,研究室で,特にうちの研究室で必要になる技術を説明に入れるようにしました.合格率は,年度によってまちまちです.試験問題はあまり変えていないのですが.
ホームページは,高校生・受験生向けのほかに,研究室配属希望者向けのものに分け,後者は研究成果を公表するたびに改訂して,鮮度を保たせています.アクセス数も,悪くありません.
あとは何ができるのでしょうか.年に一度,数日間の研究室配属だけおとなしくしていればいいのでしょうか.