わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

進学しない?

進学か就職か,鐘を鳴らすのはあなたの続きです.
いくつか,進学希望を阻むような要因と,それに対する考えを述べます.
昨日も本日も,「進学」について,マスターコースへの進学を念頭に置いています.ドクターコースへの進学は,また別の問題があるので,対象外です.

「留年したから,進学できない?」

院試において,留年は考慮されません.純粋に,筆記・面接で決まります*1
むしろ,学部で卒業するよりも,修士まで行っておくほうが,就職活動時のハンデが減ると想像します.面接で,留年した理由を聞かれても,答えやすい*2のではないでしょうか.

「人前で研究内容を話し,議論することができないから,進学しないほうがいい?」

私が指導してきた範囲では,人前で研究内容を話し,議論することが「できない」人はいませんでした.「苦手意識のある」人はいました.そういう人とは,まずマンツーマンで,研究の進め方や取りまとめを見ていき,学生の人格を尊重しつつも技術的にまずいところは指摘し,発表指導や質問対策も可能な限り行って,一つ一つ,乗り切りました.
なので,コミュニケーション能力が劣っていると自覚していても,それを,進学しない理由にして欲しくないと考えています.
なお,コミュニケーション能力は,3年後期,すなわち研究室配属直後に,伸ばして欲しいものです.「指導教員や,直接指導を受けない(同じグループで,ゼミ発表で手厳しい質問をされる)先生の言うことを聞き自分なりに答えること」と,「学生間で仲良く楽しく,雑談や情報を交わすこと」に分けて考えるといいでしょう.

「卒研の内容が好きでないから,進学したくない?」

今年度の卒研テーマは,3年後期の活動成果と,私の持つ中長期的な研究課題をもとに,こちらで学生ごとに選定しました.なので,多数のテーマがあってそこから選べる研究室や,そもそもテーマから自分で見つけるという研究室と比較すると,がっかり感を持つ学生も,いたかもしれません.
しかし,卒業研究は1年間で結論を出し,修士論文は2年間で結論を出すものです.なので,卒業研究は卒業研究で集中して,十分な成果を出し,その研究はそこでおしまいとしてしまえばいいのです.
当研究室を離れ,一般論として…有能な学生は,先生が手放さない,ということがあるかもしれません.そういうときは,卒業研究をしながら,大学院で指導を受けたい先生を見つけ,早いうちから相談することをおすすめします.
ここで場合分けですが,指導教員が1人なら,大学院で指導を受けたい先生は当然ですが,もう1人,味方につけたいものです.心理的な敷居がなければ,学科長が最適です.そして万一,指導教員から陰湿ないじめを受けたら,「クレーム」または「軽いグチ」として,伝えるようにしてみてください.
指導教員は教授だけど,実質的な指導教員が助教か准教授かいるのなら,複数の教員がともに「絶対手放さない」と思うことはありませんので,自分の考えをより理解してくれそうな先生に,大学院では研究テーマ・研究室を変えたい意志があることを,打ち明けておくのはどうでしょうか.

「今の研究内容が理解できないので,今いる研究室では進学したくない,でも進学したい?」

まず,今の研究内容について,自分の範囲で理解する努力をしてください.本などで,よく知られた手法を理解することは不可欠ですが,それより高いレベルの内容については,先生に直接聞くことも,自分なりに取りまとめてゼミで発表することも,努力に含まれます.
その上で,他の研究室に移りたいなら,卒業研究と継続しながら,今いる研究室,移動したい研究室の先生それぞれに,相談しましょう.
移籍先の研究室でなぜ自分が研究をしたいか,初回面談時に,十分にアピールして理解を得ることが,成否の鍵を握ります.
当然,「楽なテーマ」や「研究室の友達」を期待してはいけません.

「大学院の願書を出す期間が過ぎてしまった,なので進学できない?」

「内部進学」という点から言うと,出願期間が過ぎてしまうと,受験できないので,進学できないことになります.
それでも,いくつか対処法はあります.一つは「研究生」です.学生としての授業料よりは安い学費を納め,研究室で研究を行えます.ただ研究生は,大学院生になるための前段階という意味合いもあります.卒研生や正規の大学院生と同じように,席を持ち,研究指導が受けられるかは,指導教員次第です.
なお,研究生については選抜制度(入試)はないものの*3,指導教員がその人物を指導できると判断することが必須条件となりますので,エスカレータ式での進学以上に,教員との信頼関係が重要となります.それと,研究生についても出願期間があります.卒業研究が合格となった段階で,研究生になるというのは,私のいる学部については,不可です.
もう一つは,他の大学院への受験でしょう.情報分野なら,NAISTは年3回の受験機会があり,3回目は年度末です.
さまざまな制度があり,そのそれぞれにおいて出願手続きや受験料(検定料)などを必要とするため,期間・金銭への配慮が欠かせないことは,知っておきましょう.

*1:ただし,2年間で修士論文をまとめ上げられるかどうか,聞かれる可能性はあります.

*2:なお,留年した理由を素直に答える,というのでは失敗です.面接官は,留年した代わりにどんな能力や経験があるかを知りたいのです.

*3:それに対して,院試は,いかに指導教員が「こいつはダメだ」と思っていても,成績が良ければ,通さなければなりませんし,逆も然りです.