わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

研究の目的

目的が複数あるとき

かつて,たしか私が指導していた学生が,教員が複数いるゼミで研究報告をした際に,ある先生が「目的がぶれている.2つあるのは,分かりにくい」というアドバイスを与えていました.
だけどやっていることは,どちらの目的にも対応しているのですよね,さてこれからの研究を進めるに当たって,目的設定をどうしようかな…と,当時考えたものですが,誰の何の研究だったか,今は思い出せません.
最近,いや今朝のことなのですが,これに対する答えが出ました.

  • 研究の目的は一つ,
  • その研究の意義を複数,

掲げればいいのではないか,と.
別の言い方をすると,「目的になりそうなもの」が複数あるときに,そこから一つに絞り込んで掘り下げる以外にも,それらを意義と置き換えてそのままにし,その上位概念として,目的を設定するという方法がある,ということです.

目的を柔軟に変更する

自分が携わっている研究で,明確な目的・目標を持って進めるということは必ずしもありません.「明確な目的・目標を持って進める」のところを言い換えると,論文に書く順序で,背景・目的・実施内容・評価・考察と進行することは,必ずしも,いやほぼありません.
典型的には,こうです.よく知られた(できればシンプルな)例題や,(自他が書いた)論文の記述,(頂戴した)データを観察していると,「仮説」が沸き起こることがあります.
そして,本腰を入れれば良い結果が得られそうで,かつ新規性もクリアできそうだという,見通しが立てば,しめたものです.目的を明確にして,例えば科研費の申請をしたり,あるいは細分化して学生にも考えてもらったり,また自分でごりごりコードを書いたりしています.
そんなアプローチなので,ゼミや,教員間の議論の中で,目的と手段(実施内容)との乖離を指摘されることがあります.
目的が妥当であれば,それに合うように,実施内容のところを,すなわち設計,実装,実験のどこかまたはすべてを,変更しないといけません.
しかしそういう変更をする時間的余裕がなかったり,実装が十分に興味深いものであれば,目的(の表現)を変更することもあります.
連想するのは,またも柔道です.寝技で,抑え込み*1に入ったけれども,そのままの体勢(抑え方)では逃げられてしまいそうなときに,“その抑え方で一本を取る”のにこだわらず,横四方固めあるいは上四方固めへと変化していく,という状況を,思い浮かびました.
しかしこの固め方変更,実は,“その抑え込みで一本を取る”,あるいはもっと単純に“一本を取る”もしくは“勝つ”というのを目的にすれば,目的は変わらず手段が変わったのだ,と言えるのですけどね.

*1:柔道の用語としては,「押え込み」ではないらしい.技としては「抑込技」.なお,goo辞書とYahoo!辞書とで微妙な違いがあります.たしか現在のルールはYahoo!辞書のほうでしたっけ.