『ロボットとは何か――人の心を映す鏡 (講談社現代新書)』は,ほどなく読み終えました.第5章の標題(ジェミノイドに人々はどう反応し,適応したか)とその内容や,ジェミノイドの非常停止ボタンを押したときのエピソード(p.173),そして「生死を表現したインスタレーション*1」(pp.174-175)を見て,連想したのは,手塚治虫の火の鳥でした.
研究室の本棚にはなく,帰宅して探す…あった.生命編です.
- 作者: 手塚治虫
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/10
- メディア: コミック
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それで逃げて入った家に幼い女の子がいて,そのおばあちゃんが,主人公から見るとロボットなのです.「ロボットじゃないか!!」「ロボットじゃないわ ちゃんと七日に一回ミネラルスープのむの」(p.74)といったやりとりもあります.
ジェミノイドでもアンドロイドでもではなく,サイボーグに位置付けられます.といっても身体の部分は脳髄だけ.そしてそういう漫画では定番のように,ちょっとしたこと*2によって,予期せぬ死を迎え,主人公とその女の子は,そんな出来事を超えて生きていくという展開です.
150ページに届かない分量で,火の鳥のシリーズの中では短編なのですが,今読み直してみると,生とは死とは倫理とは,を考えさせられるストーリーでした.
*1:「インストレーションか?」と思って調べてみると,wikipedia:インスタレーションという項目があって,芸術用語とのこと.英語の綴りはinstallationで同じ.
*2:ここでは,ゴキブリの侵入.