で、ここまで読んでくださった方にお願い。以上に述べた経緯のとおり「疑問はあるけど言語化できない」とか「疑問があって言語化できるけど、質問するのが怖い」とかではなく、そもそも「疑問を抱けない」というのは私の想定外の話。なので、私はどうやったら質問を思いつけるの?のエントリーが多くの人、特に元コメントの質問者に役に立つかどうかについて自信がない(少なくとも私が疑問を抱くメカニズムはあのエントリーに書いてあるとおり)。なので、もし、「何故、質問を思いつけなかったのか」また「『疑問を抱けない状態』とはどういう状態か」について語れる方は、Twitterでも、ここのコメント欄でも、トラックバックでも良いのでご教示願いたい。
何故、質問を思いつけなかったの? - 発声練習
ゼミや学会発表で,質問・疑問を思いつかないときがあるのは,別段いいのではないでしょうか.私個人で言うと,大学院のゼミ(分野外もある)で積極的に質問するよう努めていますが,5つに1つくらいは,その場で出せそうな質問が思い浮かびません.
以下,研究室内のゼミを念頭に置き,「どの内容にも,質問・疑問が思いつかない」という学生への対策というか支援*1を考えていくことにします.
質問することは,勉強することにたとえられるのかなと思います.「なんで勉強せずに遊んでばっかりなのこの子は」「パパ/ママがあなたのころにはね…」では,子供も勉強しにくいような.
質問については,させる場を与えて,どんどん出させればいいのです.そして上の立場の者は,質問を集約し,ある質問はその着眼点をほめ,ある質問は高度である(今の我々では直ちに答えが出ない)と言う*2よう,心がけるのは,いかがでしょうか.
昔書いたこと:
ゼミは,発表者の成果と問題意識を,参加者間で共有する場です.そこには,時間的・空間的な制約が生じます.「誰かが発言しているとき,自分は発言してはならない」というのは,その代表的なものです.
ゼミ発表のプロトコル,実際にやってみた - わさっき
これを変形して,「誰かが発言しているとき,それに耳を傾けなければならない」となると,同意する数が減りそうです.さらに「誰かが発言しているとき,その発言内容と違うことを考えてはならない」となると,認めるわけにはいかないでしょう.
ということで,大きな意味では同一の時空間の中で,各参加者が思考し,質問を組み立てるのが,別々の時空間となるよう,そして何も考えないで過ごすということがないような,ゼミのやり方をとってみたのでした.
ゼミではありませんが書いたこと:
もう一つは,究極の問題とも言われる,「自分で問題を作って解きなさい」です.実に多彩な“問題”が出ました.これから,整理していかないといけません.
レポート課題を振り返る - わさっき
さて自分のアイデアを一つ.昨日の授業で,レポート課題を公表しました.100行超のソースコードを正しく打ち込んでもらいます.調査課題と,プログラムを一部いじって考えてもらう問題を入れました.「自分で問題を作って解きなさい」も盛り込みました.
授業をどうする! - わさっき
ここまでなら,昨年,一昨年と,大差ありません.
今年は「他の人から問題をもらって解きなさい」という設問を加えました.レポート課題を介して,学生間で,コミュニケーションを図ってもらうことにします.
(略)
採点時にすべての答案を照合します.自分のも他の人からのも,「問題」が一致しているかどうかは,重要視しません.自分のも他の人からのも,問題に対する「答え」は照合させて,そこで酷似するものがあれば,減点の対象とします.問題文が違っていても,答えが似通っていれば,アカンよということです.
上のゼミでも,レポート提出でも,おおよそ1〜2割は記述なしでした.そこを0にするのが,教育上の課題の一つではありますが,先述の自分の経験と,レポートでは点数が付かないことを承知の結果だということ*3を踏まえて,ひとまずしょうがないかなと思います.
私のこれまでとった方法で共通しているのは,「書くこと」です.質問は,口に出すよりも紙に書くほうが,内容を整理できるし,書いたけど見せないという行動がとれる(口に出すと,相手に伝わるよう,最後まで言い切らないといけない)と考えるからです.ついでに言うと,ゼミで学生が質問する習慣をつけるのは,この「質問・疑問を紙に書く練習」に加えて,「教員-学生で一対一で対話すること」「ゼミ発表・質問の流れや,何を言ってよく何を言ってはいけないかの把握」のあとでも,遅くないと思います*4.
今回のタイトルは,意図的にミスリーディングを誘っています.研究室で「質問対策」というと,「発表の際,どんな質問が来るかを想定すること」ですが,ここでは「どうやって学生に質問をさせるか,教員側が考えること」という意味の「質問対策」です.