わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

質問対策3

昔話をいくつか書いてみます.現在のM1は11期生ですが,ちょうど10年前,1期生が大学院生になったときの,初年度のクラスタのゼミ(大ゼミ)は,教員*1としては手探りで進めていきました.数回やっていると,多くの学生にとってその大ゼミが,休憩できる時間帯となっていました(ただし出席点があるので基本的に出席しないといけないのですが).ある日,多忙な教授が少し遅れて部屋に入り,“見てるだけ”の学生を目にして,「何をぼおっと見てるんや! ノートに書きなさい」という趣旨の雷が落とされまして,学生も教員も震えたものです.今,大ゼミで記録をつけているのは,内職か,研究室内の質疑記録者くらいですかね.
成績評価の方法は,毎年2〜3人の「大ゼミ担当者」が決めます.ベースになるのは初年度から変わらず,出席,発表,質問です.それぞれでどう重み付けをするかは,年度ごとに異なります.質問1回につき何点としていた年度は,素点が100を超える学生が一人か二人,いたほどです.私が関わった年度は,質問点に上限を設けました.どうするのが,学生の最も良い動機付けになるのかは,分かりません.そもそも,質問をすればその数に応じて成績に反映する,あるいはしない人は減点するという「質問点」を,動機付けとして使用するのが,適切でないようにも思います.
研究グループで実施している小ゼミは,最近になって実施されるようになりました.自分の研究の目的も詳細も知らない,教員や学生(大学院生の小ゼミ発表では,後輩も)にも理解してもらえる内容に練り上げることは,研究成果という「柱」を強固にする大切な作業です*2.半期に1回ずつの発表も,妥当な頻度だと思います.PowerPointファイルを年度の途中に作っておけば,卒研発表であわててゼロから作る必要がない,というメリットも指摘してよいでしょう.
大ゼミでは質問が成績に加味されることを,受講生が理解しているわけですが,小ゼミではそのあたりは曖昧です.議事録に質問者が明記されますし,しようと思えば教員側で「あの学生はよく質問していたな」と振り返りながら(したがって主観で)成績に取り入れることも,可能です.
しかし小ゼミは小ゼミで,評価されるのとは別に,他の学生から教員まで,いろいろな切り口で質問が出て,発表が盛り上がる状態になってほしいと,期待しています.そこに到達するために,私がしていることは,小ゼミで質問の手本を示すこと*3と,当雑記にアウトプットする形で絶えず検討することです.

最近書いたもの:

*1:独法化前なので,「教官」でした.

*2:そういえば先日の学生発表の準備段階で,内容がふらふらしているように感じたので,「一本の幹を大事にし,枝と幹の関係に注意しましょう」とアドバイスを送ったのでした.幹を英語で書くとtrunkで,Subversionを使ったソースコード管理でまた使うようになった単語ですが,大学院生になって初めてもらった,指導教官が共著者の論文にも,一階の項を木構造で表現したときに着目するパスとして,trunkという言葉が現れていたように思います.

*3:ただし「教員だからこそできる質問」と「学生だからこそできる質問」があるのかなあと思い始めています.