わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

科研申請の乗算

いきなりですが問題です.

大人の世界で,「×」を使ったかけ算で書いている例を見つけましょう.

タイトルから想像できると思いますが,私は科研の申請書に当たりました.
公募要領の冊子を取り出し,書式を見てみると,「(数量×単価)」とありました.若手研究を最初に見ましたが,他の種目でも同じです*1.写真をとりました.

赤入れの入った自分の申請書原稿にも,計算機1台なら,「(1×[申し訳ありませんが単価は伏せておきます])」と書いていました.
ここから,かけ算の順序に意味がないと主張する人々にとっては,「左が一つ分の大きさ,右がその何倍という式の立て方は,大人の世界では通用しないんだよ」と言いたくなるでしょう.片や,かけ算の順序に意味を持たせるべきと主張する人々にとっては,「かけ算の順序が必要なまさにその例になっているじゃないか」となります.
科研申請に限定すると,こう指示されているのだから,「(数量×単価)」で表記しないといけません.計算機クラスタを作ろうとして,500千円のを16個購入したいのなら,「(16×500)」と書く必要があり,逆に「(500×16)」と記せば,16千円のが500個という,単価も数量も中途半端な数字を意味します.
逆に書いて申請し,そう書いたことを理由として却下となる事例は,聞いたことがありませんが,審査員の心証を悪くしそうです.科研の審査経験はなく,論文の査読経験も同年代の人並みとは思っていませんが,形式に不備があれば,内容は十分に練られていないのではないかという疑念を持って読むことになりがちです.研究計画・方法や,近年では研究経費の妥当性・必要性を書く欄の中で,何をするために何を何台と日本語で書くこともできますが,ある審査員は数量と単価を逆に書いたんだなと好意的に解釈しても,別の審査員がこことここに齟齬があるとして,低い点数を付けたとしたら,お互いに不幸というものです.
「5×3」の件,数日間でいろいろ読みましたが,依然として現時点では順序を持たせること,すなわちあの答案をバツとすることに,賛成です.式一つで判断するのが良くなく,それまで授業で何を学んできた上での出題なのかを忖度し,乗算式を人*2に見てもらう際にどんな点に注意すべきかを考慮すると,バツとする教育的効果はあると,思っています.具体的なところは,また別の機会に書きたいと思います.

*1:種目によってバラバラだったら,科研費LaTeXの作成者様も,申請前に書式チェックをしてくださる事務の方々も,大変です.

*2:学校の先生に限らず.