パパには,アヤコ,カナコ,サワコ,タダコという4人の子どもがいます.
あるとき,パパが言いました.
「おやつの時間だな.みんなで,おいしいのを食べるか」
「わーい!」
「ちょうど,“ひとくちみかんゼリー”をもらったところで,仏様のところにお供えしているから,取ってこよう」
「いくつ?」
「そうだなあ…ひとり6個でどうだ.あ,ちょうどいい,かけ算の問題だぞ.6個ずつ4人で,ぜんぶでいくつだ?」
「(声を揃えて)ろくし,にじゅうし!!」
「そのとおりだ.だから24個持って来るよ.何個入りだったかな…」
パパが,ゼリーチョコレートを持って,ママといっしょに,4人のところに戻りました.
「ほらやるぞ」
「わーい!」
「そら.1個目は,アヤコ,カナコ,サワコ,タダコ,ママ,パパ.2個目な,アヤコ,カナコ,サワコ,タダコ,ママ,パパ.そして3個目だ,アヤコ,カナコ,サワコ,タダコ,ママ,パパ.んで4個目っと,アヤコ,カナコ,サワコ,タダコ,ママ,パパ.これでよし」
「あれ…?」
「みんな4個ずつあるよな」
「パパ,おかしいよ!」
「どうした」
「さっき,ひとり6個って言ったじゃない!」
「言ってないよ.かけ算の問題だぞ.6人いてて4個ずつで,ぜんぶでいくつだ?」
「(声を揃えて)ろくし,にじゅうし!! あれ!?」
「な.うちは6人家族なんだから,6人に4個ずつで,“ひとくちみかんゼリー”はちょうど24個だ.めでたしめでたし.はい,パパの分はごちそうさま.お前らも早く食べろよ」
「パパ,ぜったいおかしいよ〜!!」
勝手にQ&A
- 人数,増えてません?
- この時間にリリースって,どういうこと?
- どこが「親馬鹿」?
これら3つの質問への答えは同じです.本日,四女(すえの子)の出生届を提出したのでした.
- タイトルの「6×4論争
にひそむ意味」って,当山さんだったかが何か,書きませんでしたっけ?
遠山啓による「6×4,4×6論争にひそむ意味」*1をいくらか使わせてもらっています.そこでは,ある文章題(場面)を表す式が,4×6だけなのか,いや6×4も正解になるのだ,という主張ですが,本エントリでは,その主張を敷衍すると,「6個ずつ4人」と「6人に4個ずつ」という2つの異なる場面が,ともに6×4になってしまうよということを,示しています.
関連
- 2010年11月19日(15こあればいい,じゃあないんだよね)
- 2011年5月2日(5×3をめぐるお話)
- 2011年5月2日(《かけ算に順序はない》世界)
- 2011年6月7日(5×3をめぐるお話・第1話を余談で話す)
- 2011年7月11日(小話集)
- 2012年3月17日(8マス関係表)
(最終更新日時:Wed Jul 18 05:30:08 2012ごろ.「チョコレート」を「ゼリー」に修正しました)
*1:検索したところ,当雑記では何度か,「6×4,4×6の論争にひそむ意味」と書いていました.「の」を取り除きました.