いきなりですが問題です.
子どもが並んでいます。ひろしくんの前には5人,ひろしくんの後ろには3人います。
子どもは全部で何人いるのでしょう。
(『使える算数的表現法が育つ授業 (算数的表現力を育てる)』p.61)
2年生向けの出題で,「絵にかかせて解くこと」をさせています.ポイントは,「ひろしくん」も子どもの一人であり,「5人」「3人」と別であること,でしょう.
実際,この問題文の2行あとには,次の絵が失敗例として載っています.
○○○○○ ○○○
ページをめくると,「文章題を与えるときに,いつも文章の中の数値を使えば解けると考えている子は結構多い」の指摘や,「ひろしくんはどれかな?」という,教師による発問を経て,次のような絵になっていきます.
↓ひろし ○○○○○ ● ○○○
あとは数を数えるか,3口のたし算で計算して,答えは「9人」.めでたしめでたし…とはいきません.ページ最下段に,びっくりの絵があるのです.
○○○○○ ● ←ひろし ○○○
先ほどまでの2つの絵は,左方向が「前」なのですが,この絵は,上方向が「前」になります.これも一つの並び方ですし,「ひろしくんの前には5人,ひろしくんの後ろには3人います」も合っています.それにしても,すごいボディガードです*1.
- 去年取り上げた文章題:「不備のある算数文章問題」に対する小学生と高校生の解決方略
*1:しかもみんな子ども.