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条文の読み方

いきなりですが問題です.「電子情報処理組織」とは,何のことでしょう.

条文の読み方

条文の読み方

面白い本でした.大学の一般教養で,法学関係の授業を一切とらなかったこともあり,法律の読み方・書かれ方は独学してきました.
担当授業で少しだけ,解説しています.具体的にはコンピュータ犯罪を取り締まる法律を説明する中で,「電子計算機損壊等業務妨害(刑法第234条の2)」と「電子計算機使用詐欺(刑法第246条の2)」,「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」を挙げています.刑法に書かれている前二者は,「〜条の2」とあるけれども,「〜条」とは独立した内容の,1個の“条”なのですよ,というのを,余裕があるときに説明しているのでした*1.このことは,条名(法令の記法形式 - Wikipedia)で,丁寧に書かれています.
それはさておき回答です.「電子情報処理組織」がどこで書かれているのかを知るには,Googleで調べましょう.

(申請の方法)
第十八条 登記の申請は、次に掲げる方法のいずれかにより、不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)を登記所に提供してしなければならない。
一 法務省令で定めるところにより電子情報処理組織(登記所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この号において同じ。)と申請人又はその代理人の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO123.html

冒頭の本では,p.133で引用されています(以下も,ページ番号はこの本からです).そこには「不動産登記法(平成一六法一二三)」と書かれていまして,上記引用元(URL)の「H16HO123」と合致します.
で,「電子情報処理組織」とは何かというと,「コンピュータを使ったシステム」の,この法律内の名称ということですね.組織=systemです.ついでに,電子計算機はコンピュータ,電気通信回線はオンライン,といったところでしょうか.
ところで,学校の外で「×」を書こうと決めたあたりで,数どうしでないもののかけ算に対し,どのような名称にすればいいか,少し悩みました.(いわゆる純粋な)数と量を合わせて「数」,数でないものを「物」として,「物×物」「物×数」「数×数」とするのが第一案だったのですが,この場合,人名を「物」扱いするのに抵抗がありました.
本のp.51から始まる「者」「物」「もの」を読んで,「もの」を使うことに決めました.直接的には,「第一に、『もの』は、『者』又は『物』には当たらない抽象的なものを指す場合に、あるいは、これらのものと、『物』とを併せて指す場合に用いられます」(p.52)のところです.
2番目の用例を見て,へえ,そんな書き方もあるんだと知りました.

第二に、「もの」は、あるものにさらに要件を加えて限定する場合に用いられます。
(p.53)

第二条 この法律において「性同一性障害者」とは、生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致しているものをいう。
(強調はp.53と同じ)

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO111.html

ところで本日,法律の検索は,まずhttp://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgiで行いました.しかしその方法では,URLから法律のページに行けないので,法令名でGoogle検索をし直してページを確認し,出典のURLとしました.
一見よく似た語句の使い分けと,法令での使用事例を通じて,「ことば」に対する感覚が,ちょっと鋭くなったように感じます.感じます.

*1:今年は話した記憶がありません.