風呂上がりに.
「パパ〜」
「何や?」
「うえの子にな,りんご,切っちゃってくれる〜?」
「あ?」
「こっちな,すえの子のことで忙しいねん」
「へいへい,ほなやるよ」
「冷蔵庫にな,4分の1に切ったりんごがあるねん」
「ん…と,りんごがあるにはあるが,2分の1やな」
「4分の1にして」
「へいへい.残りは食ってええか?」
「冷蔵庫に戻しといて」
「あーはいはい.皮,ついとんねんけど,このままやってええんか?」
「食べられる大きさに,切ってほしいねん.それと,皮はむいてな」
「あいよ.まずヘタを取って,んでから皮をむいて…」
「3つに切ってくれる?」
「ん? あいのあいっと,3つに切ったぞ」
「そのうちの2つを,うえの子にあげちゃげて」
「あー,うえの子は,そばで見てたんな.ほら,どうぞ」
「ありがと」
「あとな」
「うん?」
「2つに切って,パパとママで食べよか.持って来てくれる?」
「なるほどな,さくっと.んでパパは1口,ママも,あーんでええか」
「ありがと」
「ふう.果物ナイフを洗ろとこかな」
「よろしく」
「それにしても,パパが食べたんは,4分の1の,3分の1の,でもって2分の1か.かけ算したら12分の1かいな…」
「ぱぱなにそれ?」
「2分の1っちゅうのはやな…こ〜んなんがあってやな(腕をゆっくり1周する)」
「…」
「んでここで切って(縦に腕を下ろす),これ(半円になるよう,腕を動かす)とやな,これ(残りの半円)がやな,どっちも半分,これを2分の1っちゅうねん」
「ぱぱ,おもしろい」
「次は4分の1な.こ〜んなんでやなあ(腕をゆっくり1周する)」
「…」
「こんどは十字に切るんや(腕を縦と横に動かす),でもってこの部分が4分の1」
「ぱぱ,もいっかい」
「言うと思った.ほなそうやなあ,10分の1っちゅうのをやっちゃろ.こ〜んなんでやなあ(腕をゆっくり1周する)」
「…」
「(激しく腕を動かしながら)こーしてこーしてこーしてこーしてこーしてこーしてこーしてこーしてこーしたら,10個に切れるんや!!」
「ぎゃははは〜! おもしろい!!」
「ああ,疲れてきた.とっとと寝よ」
「…」
「あ,4分の1かける3分の1かける2分の1は,24分の1やった」