いきなりですが問題です.
➏次の 式で 答えが もとめられる もんだいを 3つ つくりましょう。
①45+17
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②45−17
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③7×4
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出典は,『算数授業つまずきの原因と支援』p.46です(以降も).3つなら簡単,と言いたいところですが,直後を読むと,話が変わってきます.
正答例/①合併,増加,減法逆の加法の問題,②減少,比較,加法逆の減法の問題,③同じ数の集まりがいくつかある場合,何個の何倍,除法逆の乗法の問題(おかしを一人に7個ずつ分けたら4人に分けられました。全部で何個ありましたか)。場面や数以外が異なる場合であれば正解とする
誤答例/①②③場面や数を違えただけで同じ構造の問題を作ってある。この場合どれも認めるが,正答数は1として評価する
この採点基準があるとなると,これは,本の中で一番の難問のようにも見えてきます.文章題をたくさん解いてきただけの子では,異なる「構造」に気づいていない可能性があるからです.
とはいえ,これをそのまま解かせるわけではないのは,同じページの最後に記されていました.
(3) 生活の中に目を向ける
➏のように,一度にたくさんのことをさせる必要はない。そのつど,式を見て場面を説明すること,式に合う問題を作ることを通して,計算の使われる場合の理解を深めていくのである。
その際,こんな場合,そんな場合と様々にあることにも気づかせると進歩する。
ペーパーテスト,あるいは総括的評価・外在的評価として,3つを書かせるのではないのですね.
となると…こんな「やりかた」があるかなと,思いました.3つと言わずたくさん作って,それから3つを選ぶのです.KJ法です.学校の授業でもいいし,家庭でもできそうです.
具体的に,展開を書きましょう.場面を違えたのでもいいし,4×7になるものでもいいので,とにかくたくさん作ることを,最初の段階とします.
10個くらい作って*1,頭がくたくたになったところで,次に,これまで書き出したものを見比べ,振り分けます.4×7になるものは,ここで区別されます.
振り分けてみて,それぞれのグループに,名前をつけます.
それらの名前が,子どもらしい発想によると同時に,何が何個,何の何倍,除法逆の乗法に対応するものとなれば,教師・親としては願ったり叶ったりです.各グループから*2,いいと思う文章題を一つずつ取り上げ,それが「答え」です.
ところで「何が何個」「何の何倍」「除法逆の乗法」とラベリングしましたが,これに限る必要はなく,次のようなのでもいいのかなと思っています.
- 《AB型》
- A,Bの順に数が現れ,A×Bの形で式に表す文章題.
- おにぎり7個入りのお弁当が4つあったら,おにぎりは全部でいくつですか.
- 《BA型》
- A,Bの順に数が現れ,B×Aの形で式に表す文章題.
- 4枚のお皿にみかんが7つずつあったら,みかんは全部でいくつですか.
- 《複数解》
- 式はA×BとB×Aのどちらでもよい文章題.
- 机が縦横にきちんと並んでいて,縦にはどれも4つ,横にはどれも7つだと,机は全部でいくつありますか.
関連:
- 作問
- サンドイッチ型の評価法(今回の話は「ケーキ型」と関連しそうです)
- 「向山型算数」読み足し(2. 向山型算数授業法事典 小学2年)
- 「どちらでもいい」は書く人ではなく書いてもらう人が言うこと
(最終更新:2013-01-26 朝)