わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

3年ゼミ講評

3年生のみなさん,時間変更を何度もしつつも,結局は当初の時間で,集まって来ることができ,よかったです.
さて講評をしたいと思います.一人一人ではなく,全体に向けたアドバイスとします.

変更

まず,時間や技術の制約がある中で,設計そして実装と,自分のしたかったことができたでしょうか? 改めて,自分なりに見直してみてください.
この失敗をバネにして,4年になったら卒業研究はうまくやる…のを願いながらも,あいにく卒業研究でも,同じようなことを経験すると思います.はじめの計画,あれもできるこれもできるといった思いは,卒業研究や開発を進めていくと,路線変更や妥協へと移っていくのです.
なるべくそうならないようにするのが,サポーターたる指導教員の役目なのですが,これまでの卒業研究を見ている限り,思う通りに研究は進まないものです.
これは,みなさんの持つ時間・技術だけが理由というわけではなく,研究なのでプライオリティの問題も出てくることがあります.面白いものを作っていても,論文調査をしていって,もし,自分がやっているのと完全に重なるのが見つかって,性能面でも勝てないとなったら,大小何らかの軌道の修正が必要となります.
そうしてみると,3年のうちから,「できそうなこと」をまず列挙し,開発しながら「できること」「すべきこと」へと絞り込んでいけた,と良い方向に,自分の手がけたことを考えるようにする,というのも大事なことです.

コミュニケーション

次に見直しておきたいのは,コミュニケーションがうまくできたかどうかです.学生どうしもありますし,みなさんとこちらとのやりとりも,思い出してください.
こちらの印象としては,基本的な受け答えはできていたと思います.今回集まってもらったのもそうですし,ゼミ外で指示を出した際にも,きちんと対応してくれました.
なので,コミュニケーション能力に,次の一歩を期待したいと思います.就職活動をしながら,そして4年生に上がってからも,能力を高めていってください.
能力向上のヒントになるのは,「失敗から学べるか」です.うまく意図が伝わらなかったとき,あるいは聞いていて,言っているのは分かるが何が言いたいかが分からなかったときに,あとででいいので,何が原因だったかを確認する時間を,とりましょう.
主な原因として,メッセージそのものが,まず挙げられます.「てにをは」から始まって,用語の統一だとか,もっと大きな話として,何を伝えたいか,受け手にどんなアクションを起してほしいかが,メッセージにきちんと含まれていないと,ミスマッチがよく起こります.
では正しい文章,過不足のない中身を作って,相手に渡せばいいのかというと,そう簡単ではありません.メッセージそのものと同じくらい,大事なのが,メッセージを送ったり受け取ったりする,タイミングです.例えば,受け手の機嫌が悪いだとかで,受け入れられる状態になければ,送っても,心に届きません.タイミングが遅いことによる失敗も,早すぎたせいでの失敗も,あります.
また別の要素として,メッセージを理解するための,送り手・受け手,またそれらをとりまく,コンテキストというのも,けっこう重要です.コンテキストは,文脈とか状況とかのことです.欧米はローコンテキスト,それに対して日本はハイコンテキストなので共有しているものが多く,その分,メッセージは少なくなりがち,というのはどこかで読んだことがありますかね.

問題解決

人的な要素を,無視するわけにはいきませんが,それでも我々は情報処理・情報通信の技術者でありたいものです.そうなると,ハードウェア,ソフトウェア,ネットワークをうまく組み合わせた「ものづくり」そして「問題解決」が,キーワードとなります.
問題解決は,「何をするか」と「それを実現するために,具体的にどうするか」の組み合わせだと,まず思ってください.「何を」はWHAT,「どうするか」はHOWです.
卒業研究でも,目的を設定して,システムを作ることになります.
卒業研究についてですが,卒論は個々に提出します.なので,研究も基本的に一人で行います.テーマは4月に割り振りますが,その際,院生と一緒に行うテーマもあります.先輩と一緒にすることで,得られるもの,得にくいものもあるので,そのメリットデメリットと,みなさんの性格,そして研究テーマに対するみなさんの関心も考慮に入れて,4年生になったら研究を進めてもらおうと思っています.

常に学ぶ

充実の研究室生活を送れるようにするには,これから2月上旬までが重要です.しっかり勉強し,履修した科目に合格し,単位数の条件をクリアしてください.
そしてみなさんは,就職希望なのですね.春休みの活動が,大事になってくると思います.
なのですが,新年度になったら,ゼミで身につけたプログラミングの能力がなくなっていた,ということがないよう,「常に学ぶ」ことを,心がけてください.
とはいっても,2月3月もコーディングをしろというわけではありません.
いつでもできる,常に学ぶ基本となるのは,「読むこと」「考えること」です.
就職活動の移動中でも,プログラミングや情報分野の本を持っておきましょう.買うお金がなければ,研究室に足を運んでください.誰かいれば話しかけ,誰もいなければ,本棚を見ましょう.平日で,学生室に誰もいなければ,私に声をかけてくれれば開けますよ.
もう一つは,「考えること」---何をすればいいか,分かりますか?
まずは観察です.電車を待つプラットフォームの人々---自分を含め--もありますし,歩いていて目にしたもの,また自分が普段から見ているものでも,いいでしょう.
そうした中で,改善できることが何かないか,考えるのです.問題意識,とも言います.
しかしそこで見かけた問題は,すべて解決できるわけではありません.コスト面,多数の人が関わるというほか,それを解決したら,また別の問題が発生する可能性だってあります.
そうこうしながら,重要なこととそうでないことを見極められるようにし,就職活動でも卒業研究でも,自分が本当にすべきなのは何か,発見していってほしいのですが.

最終発表からの3年ゼミ指導

  • 1月18日(金):最終発表で開発システムの実演
  • 1月23日(水)まで:振り返りメモの提出*1
  • 1月24日(木) 12:30:3年生集合,講評

*1:3名の3年生に各自,自分と他の3年生が,ゼミを通じてどのような活動をしていたかを,書いてもらいました.こちらは,3×3で延べ9人分のメモと,これまでの発表資料や指導した記憶をもとに,講評文案の概要を作りました.