わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

切り分ける

いきなりですが問題です.

包含除と等分除の違いが分かる問題を作ってくさい.

図を使った説明としては,等分除・包含除|算数用語集が最も明快だと思います.
自分なりには,包含除等分除の用語説明を書いてみたほか,包含除と等分除 再考コメント補足分離量と連続量,かけ算とわり算包含除先行といった記事を作ってきました.
遠山啓は「13Lのショウユを3人に分けるのと,3Lずつに分けるのでは明らかに意味が違う」と書きました.今回,醤油という液体ではなく,また別のもので,違いが分かる場面を考えまして…
「糸」を使うことにしてみました.まず,9.5cmで切った,1本の糸を用意しておきます.
そして,

  • この糸を切って,長さ3cmの糸をたくさん作ってください.何本できますか.

というのが,包含除であり,

  • この糸を,同じ長さの3本の糸になるように切ってください.それぞれの糸は,何cmになりますか.

と問えば,等分除になる,という次第です.
測ったり切ったりするのに,定規と糸切りばさみは必要ですね.その他に使用するものがあれば,その場で話し合って,可否判断をするものとしましょう.
この2つの問題,糸の材質にもよりますが,自分としては包含除の切り方のほうが,容易に思います.切る長さが,与えられているからです.包含除先行の中で引用した,「整数の等分除の難しさは,分けるための単位がその場面に示されていないところにある」は,連続量の今回のケースにも当てはまります.
何cmに切るのか,何本に切るのかの“数”も,重要なところで,上の問題で「2cm」「2本」にすると,これまた個人的印象としては,等分除のほうが容易になります.「同じ長さの2本の糸」になるよう,切るには,Uの字にして長さを揃え,真ん中をちょっきんすればいいからです.包含除のほうは,難度は下がっていません.切る回数,言い換えると手間が増える程度です.
「3本」だと,「の」の字か,Zの字にすることになります.全てを同じ長さにする際の難しさがアップします.
ところで「9.5cm」についても,ねらいはあります.包含除の場合,3cmごと,2cmごとに切るのでは,余りが出ます.そしてその余りは,場面設定から,出ざるを得ないものです.
一方,等分除では,3本に切ろうとして,先に1本あたりの長さを計算しようとすると,ここでも余りが出ます.小学校3年向けなら,9.5cmを95mmにして,95÷3=31あまり2となります(4年で割り進みを学習すると,95÷3=31.666…です).
しかし現実には,余りを考えることなく,同じ長さにすることができます.とはいえ実際に切ってみると,切り間違いや,誤差も発生するでしょう.それは3cmごとに切る,包含除の話でも同様です.
9.5cmの糸を,同じ長さの3本に切るよう指示したとき,どんな反応を示すか,想定できるものを書いておきます.

  • 「の」の字,Zの字などで同じ長さになるようにしてから,切り,1本の長さを定規で求める
  • わり算で,1本の長さが3.1cmと3.2cmの間になることを求めてから,定規を使って測りながら切る
  • 「同じ長さに切ることができない」と言って手を止める

どの反応が“正しい”というものは,ありません.それぞれについて(おそらくはその他の反応に対しても),算数としての意義を見つけることができると思います.