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超ディープな割り算

 いきなりですが問題です.

縦の長さが2m,横の長さが3mの長方形の面積を求めましょう.
式 2×3=6 答え 6㎡

 上の問題文・式・答えを参考にして,「式 6÷2=3 答え 3㎡」になる問題文を3つ作りましょう.
 さっそくですが解答(問題文)です.

  • 面積が6㎡の板を2等分しました.分けた1枚の板の面積を求めましょう.
  • 1㎡を塗るのに2dLのペンキを使います.6dLのペンキがあるとき,塗ることのできる面積を求めましょう.
  • 体積が6㎥の直方体があります.高さが2mのとき,底面積を求めましょう.

 3つはそれぞれ異なる種類のわり算です.単位を付けた式にすると,違いが明快になります.

  • 板の問題の式は,6㎡÷2=3㎡,または,6㎡÷2枚=3㎡/枚
  • ペンキの問題の式は,6dL÷2dL=3,または,6dL÷2dL/㎡=3㎡
  • 底面積を求める問題の式は,6㎥÷2m=3㎡

 既存の分類表と照合することでも,違いを確認できます.かけ算・わり算でモデル化される場面の表において,板の問題は,等しい量(Equal measures)の等分除,ペンキの問題は,割合(Rate)の包含除,底面積の件は,量の積(Product of measures)のわり算です.
 本日の記事を作るきっかけになった本です.

 「なぜ、「6÷2=3」なのか?」という文章が,pp.46-53にあります.「●学校で習う「6÷2=3」のイメージ」と題して,p.47を丸ごと使って絵にしています.「6個のみかんを」「2人で分けると」「3つずつになる」という吹き出しから,同数のグループ(Equal groups)の等分除なのが読み取れます.
 3年の算数の教科書ではこれを皮切りに,包含除もありますし,学年が上がればさまざまなわり算の場面*1が想定できるのですが,今回読んだ本では,このみかんの件を《割り算のルール》(p.46)と関連づけた上で,そうじゃないんだよという展開になっています.
 展開の中でぎょっとしたのは,pp.49-50の「2÷0.5」の件です.「2個のみかんを0.5人で分けるとき,1人あたり何個となるか?」を,p.50の最上段に枠で囲っています.「0.5人で分ける」というのが非現実的ですし,実のところ「2÷0.5」については,「2mの棒があります.0.5mずつ切ると,何本に分けられますか?」といった,等しい量(Equal measures)の包含除の場面を考えることができます.
 またp.51では,「a÷bとは、a=b×cとなるcのこと。つまり、bをかけるとaとなる数のこと。」を,《割り算の新たなルール》としていますが,abcという文字を使用することなく,3年で学習します.等分除・包含除|算数用語集の画像になっている「答えは,3×□=6の□にあてはまる数です。」が該当します.『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説算数編』だと,p.148です.


(翌日追記)同一の式で表せる問題文を,1人でいくつか作らせたり,1人が作るのは1つだけれど集計してどのような問題文を作るのかを分析したりするものは,以前にも紹介してきました.2つ挙げておきます.

➏次の 式で 答えが もとめられる もんだいを 3つ つくりましょう。
①45+17
(          )
(          )
(          )
②45-17
(          )
(          )
(          )
③7×4
(          )
(          )
(          )

7×2.4の式で求められる問題を1つ作りましょう.ただし,問2の②のような面積を求める問題はのぞきます.今まで学習したことを思い出して考えてみましょう.(式・答えは書かなくてよい.)

*1:例えば,http://takexikom.hatenadiary.jp/entry/2019/05/31/061224の「出題例2: 7.5mのロープ」は,2つの文章題について,式は「7.5÷2」で共通しますが,そのあとの計算が「=3.75」「=3あまり1.5」と分かれ,それぞれで意味(場面)が異なっています.