「もうええかな.ほな,あとの子から先に上がろか」
「いや」
「いや」
「風呂上がりに『いや』『いや』はもう,定番になったなあ.はい,だっこな」
「…」
「まずは(脱衣所の)ヒーターのスイッチを入れて…」
「んでからバスタオルで,体をふいてくぞ」
「次は,えっと…」
「くりーむ!」
「せやな,薬用クリームな(指にとる)」
「ぱぱ! ぱぱ!」
「左右の手ぇの,人差し指を差し出すねんな.ほい,ほいっと,自分で擦り込むんやで」
「…」
「でもってこの子は,上半身をすりすりするんで,こっちは足に…」
「顔にも…」
「まあこんなところかな.ママに着せてもらい(ドアを開けて外に出す)」
「次は,さきの子やで」
「…」
「あ,もう『いや』言わんのか.一人やと,さみしいんかな」
「バスタオルで,体を…こらこら,ヒーターのスイッチを切るな,寒むなるやろが.んでまたスイッチ入れるってか.パチパチするのが楽しいねんな」
「さてと.さきの子にも,薬用クリームな(指にとる)」
「ぱぱ! ぱぱ!」
「あいよ.お前は,右手の人差し指と中指やねんな.ほい,ほいっと」
「…」
「でもってこの子は,足にいきよるんか.まあ背中が塗りやすなって,ええんやが…」
「あと,お顔も軽ぅ,塗っとくで.こそばがるなよ!」
「よっしゃできあがりや.ママとこ行き(ドアを開けて外に出す)」
「しっかし…誰が教えたわけでもないのに,似てるような,似てないような行動しおるねんな,あの子ら.まいいや.風呂につかって,ゆっくりさせてもらうか」
「パパ〜〜!」
「んあ? どした」
「すえの子,持って来たんで,体洗ろて,ちゃっぽんしちゃってや」
「へいへい」