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カードの表に偶数が書かれていたら〜ロジカルシンキングの問題

いきなりですが問題です.

カードの表に偶数が書かれていたら、裏面には原色名が書かれている。このルールが正しいことを示すためには、次のカードのどの2枚を選び、裏返せばよいだろうか?

  • 「5」
  • 「紫」
  • 「8」
  • 「赤」

いつものように元ネタです(pp.45-46).

これだけ! SWOT分析

これだけ! SWOT分析

暗黙の仮定が2つあります.「5」とは,5だけが見えている(例えばテーブルの上に置いてある)カードのことで,その反対側の面に何が書かれているかは,裏返さないと分かりません(他のカードも同様です).それと,それぞれのカードは,一方の面に数が,もう一方の面に色名が書かれています.
解答は後回しにして,もう一つですが問題です.

18歳未満はアルコールが飲めない。カードの表には年齢、裏には飲んでよい飲み物が書いてある。ルールが破られていないことを示すためには、どの2枚のカードを裏返せばよいか?

これだと「テキーラ」と「16」だと分かります.「33」の裏面はアルコールでもノンアルコールでもいいし,「コーラ」を飲むのは何歳でもいい*1のです.
それで冒頭の問題に戻ると,「紫」と「8」を裏返す必要があります.「8」の裏が赤青黄のいずれかならOK,そうでなかったらアウトです.「紫」の反対側が奇数だったらお咎めなし,偶数ならアウトです.
「5」の裏面は,原色名でもそうでなくても,ルールの正しさには影響しませんし,「赤」の裏面が奇数であっても偶数であっても,同様です.
本としては,前者の「論理クイズ」を持ち出して,ロジカルシンキングの必要性を説く人もいるけれど,その問題が正解できなくても,アルコールの問題なら誰でも解けるじゃないか,これらは,論理問題としての構造は全く同じなんだよ,「ロジカル=形式的な論理」だとか,「論理的に正しい答えを出せ」だとか,我々はそこにこだわらなくてもいいんだよ,と展開しています.


記事にするにあたり,私は上の問題のうち「原色」「18歳未満はアルコールが飲めない」という表現が気になって,本をもとにしつつも語句を自分なりに変更してみようかと思いました.
なのですが,Webで調べてみると,この種の問題がヒットします.例えば:

学術的には「Wason 選択課題」で検索するのがよさそうです:

語句の書き換えはせず,よく知られた問題の一例(2例?)として,ここで紹介することとしました.

(リリース:2013-10-22 早朝)

*1:きわめて個人的な話ですが,行楽で清涼飲料水を買うと,4歳のうえの子と2歳のさきの子・あとの子が「のませて」「ほし」「ほし」と迫ってきます.