はてブ感謝リンク感謝(201311)の続きです.新規ページにしました.
2013-11-26 朝に追加
“礒田先生”のお名前を最初に見たのは『算数授業研究 VOL.80』です.2012年に「×」から学んだことに,日本語・スペイン語のかけ算の式が表になったものを,貼り付けました*1.この表のスペイン語版を知ったのは今年2月です.
それはそれとして昨日,『Japanese Lesson Study in Mathematics: Its Impact, Diversity and Potential for Educational Improvement』を入手しまして,早速[Isoda 2007]とラベルをつけて参考文献に載せました.
十分に読んだわけではないのですが,この本もまた,算数教育に携わる方々のつながりを新たに知る機会となりました.というのも,少しめくると,「With support of」として並ぶ4名のうち「Takuya Baba」が,[馬場2002][Link 19J]の執筆者名と一致したからです(関連:国際比較に追加).
「文献」「人*2」「年月」,そしてそれぞれの組み合わせに注意して,今後も自分なりに情報整備をしていくとします.
前後関係があるようで,[twitter:@hattan0523]さんと[twitter:@fzw1212]さんの11月23日のツイートにも目を通しました.
自分の書いたものは,人によってはリファレンスになり得るでしょうし,別の人にとっては,読むだけ時間の無駄な文字の羅列となるのかもしれません.
それでも,「かけ算の順序について調べたい」だとか,「かけ算の順序というのがあって,そこでコレコレという言葉を見かけたけど,何を探したらいいか,教えてくれない?」とかいった問い合わせがあったときに,そのとっかかりとなるものを提案できないか,と思うことはよくあります.要はwikipedia:レファレンスサービスです.
自分自身は,はてなダイアリーでこれまでに書いた各記事や,アップロードした各画像を手元に置き,検索や再利用に役立てるとともに,リンク集やQ&A集を整備してきました.
前者のリンク集は,そのうち新たなエントリを作ることを予定しており,11月15日以降の関連記事は載せていません.Q&A集はメンテナンスする気なしです.
「リファレンス」といえば,一時期,facebookのトップページからのアクセスを多くいただいたのですが,アクセスログではリンク元がhttps://www.facebook.com/やhttps://m.facebook.com/となっていて,詳細を知ることができません.どんな紹介のされ方だったのでしょうか?
これは,私の書いたことに対する直接的なツイートではありませんが,ある通知をもとに読ませてもらい,非常に興味のある内容だと思いまして,取り上げた次第です.
「掛け算順序にこだわらない」に関しては,算数教育に関わる各団体は,思いつくたびリリースしてきました.まずは,かけ算の順序についてどのような見解を出していますか?に「非順序派」という項目を設けています.
そのほか,2013年はトランプ配り,1988年はアレイで,間違いにするのはおかしいという本を2冊,見てきました.
順序をつけた式にしているけれど,かける数が先の文章題(2つの数をひっくり返すような操作)は出てこない,という教材集・ワークブックには,次の2冊が思い浮かびます.
- 作者: 小林道正,数学教育協議会
- 出版社/メーカー: 国土社
- 発売日: 2009/07/01
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
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- 作者: 埼玉大学教授 岡部恒治,京都大学名誉教授 西村和雄
- 出版社/メーカー: 数研出版
- 発売日: 2011/02/14
- メディア: 単行本
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それと,教科書Q&A:文部科学省を見ると,小学校の教科書は,25年度に検定・26年度に採択・27年度に使用開始*3となっているのですが,かけ算の順序をなくすなど,より良い初等算数・数学教育カリキュラムを整備していこうと意気込む人々の間で,このスケジュールは周知されているのでしょうか.
現実世界については,もう一つのブログで事例報告と検討を行ってきました.「1.5kg×4箱」だとかだとかが当たり前のように使われていますが,これがなぜ「総量は6kg」(6箱でも6kg箱でもなく)や「死亡モンスター2体」と認識できるのかというと,小学校で学習しているかけ算の式,「かけられる数×かける数」にルーツがある,というのが元記事の要所の一つとなっています.
「レシート」には個数×単価もあるよという指摘も見かけますが,これは昨年と今年はじめに調査していて,年末年始のレシート集めにて,外部へのリンクを含め整備しました.その後,かけ算の順番問題 / かけ算の順序問題も書いています.ところで,「レシートには個数×単価を多く見かける」という事実から,「現実世界では,かける数×かけられる数を多く見かける」と言っていいのかについては,疑問のあるところですし,それを根拠に「算数でもかける数×かけられる数を認めよ」というのは,A-6に吸収されることになります*4.
「かけ算の順番」は,たぶん一生を費しても,お互い意識を共有することは困難かなという思いです.ともあれ元記事では,乗法は「倍」と「積」とに大別でき,りんごの問題をはじめ論争となる出題は,このうち「倍」に分類されることを記しました.「かけ算に順番がない」という考え方は,《かけ算に順序はない》世界や倍指向,積指向で検討し,その年についてはQ&Aと英文に集結しました.その後,School Mathematics Study Group (SMSG)が積指向であったこと,遠山の「タイル×タイル」や中国の状況,そしてVergnaudの60セントの話をもとに,世界レベルで見ても,「かけ算に順番がない」という考えには課題があり,その解決法が提案されていない状況では,日本の教育がその考えを採用することはなさそうだ,という理解に至っており,元記事では抑えめに書きました.10円玉の話は,「積」(のみ)ではダメだというよりは,「倍」と「積」とを組み合わせれば,間違いの可能性を減らすことができ,数量への見方をより豊かにするという提案です.
「なぜかけ算に順番があるという指導をしているのか」という疑問への答えが見当たらない,というのなら,そこは,日本の算術や算数,また国外の事例をもとに,多数の実践例および学術的な根拠*5を見ていき,頭の中で再構成を図るなり,まとまった文章として取りまとめるのが,しんどいけれど避けられないのかなと思っています.当ブログの記載内容は,現時点でのその帰結です.
その問題意識は維持しながら,「なぜ」のレーンをスイッチすることも可能です.「なぜ『かけ算に順番があるという指導』に自分は違和感/困惑/いらだち/怒りがあるのか」と問題を設定するのです.この路線で追究してくださると,こちらとしても助かるのですが.
不正解にすることには賛成する一方で,困惑は長いこと,持っています.「割り切れない」といっても,いいでしょう.それは,自分が情報通信分野の大学教員であること,より具体的には,文献や年月や人物の結びつけを支援するようなデータベースシステムの開発に携わってきたり,授業・演習・研究室指導を通じて自分の指導の方法やコンテンツを変更してきたりした(今後もそうする)こと,そして数年後にはかけ算を習う娘らの父親であることと,切り離して扱うわけにはいきません.
あと,PV=nRTの解釈の件,承知しました.それは,「複比例」が,「比例関数」をもとに説明できるということの一例だと理解しています.かけ算の式表現に関する配慮は,[田村1978]の本をご確認いただけると幸いです(今年入手できた方もいます.数学者による「かけ算の順序」で「‘中学校式’」を検索していただいても結構です).ソースを出せませんが,かけ算の順序論争の中で最初にPV=nRTを出したのは,菊池誠さんだったと思います.
現在の内容は,最初(3番めの記事)の投稿から,いくらか書き換えています.前のバージョンをウェブ魚拓にとっておきました.
(最終更新:2013-12-03 朝)
*1:http://f.hatena.ne.jp/takehikom/20120227063621ですが,今見直してみると,「我が国で通じる常識」は,人によってはカチンとくるフレーズかなと思います.
*2:書籍や,公開される授業記録などではほとんど書かれることのない,学習者すなわち子どもたちのことも,無視するわけにはいきませんね.
*3:http://b.hatena.ne.jp/takehikom/20131124#bookmark-474148
*4:A-6に書いた「他の国」を,「学校の外」と変えますか….
*5:繰り返しますが「数学教育学」における根拠であり「数学」ではありません.とはいえ最後の節で参考文献のみ挙げた「量の理論」も,かけ算の順序,より正確には2つの因数に当たるものの区別を前提として,構築されているのですが.