「あ〜,ちょっと寝っ転がって,牛さんになろか」
「んで予想どおり,さきの子とあとの子が乗ってきおんねんな」
「ぱぱこれよんでえ」
「ぱぱ,ぱぱ」
「何やなんや,ああ,さんびきのこぶたの紙芝居か」
「パパ,よんでえよお」
「うえの子まで来おったか.ほないくで.昔むかし毛利…ええ反応やなかったな,やめとこ.3匹の豚どもがおってやなあ」
「パパぁ,ちゃんと読んでる?」
「いや,紙芝居の通りに読むのがめんどいねん」
「あかんで面倒くさがってたら」
「寝っ転がったまんまで読むよ」
「お好きにどうぞ」
そうこうして話は佳境へ…
「狼さんが,レンガの家の,煙突から入ることにしました…」
「煙突の下では,火を燃やしていて…」
「そこに狼さんが飛び込んでひゅ〜,どっか〜〜ん!! と,打ち上げ花火になっちゃいました」
「パパ,そんなわけないやん」
「ぱぱおかしい」
「そっかそっか.ま,3匹の子豚たちは,いちばん下の弟豚が作った,レンガの家で,仲良く暮らしました.めでたしめでたし」
「ぱぱ,もっかい」
「もっかい」
「いやあのな,こういうのは,何回も繰り返して読むもんやないぞ」
「パパ,おもしろいはなししてよお」
「おもろい話か,せやな…『さんびきのこぶた』に対抗して,『さんびきのコブラ』とか」
「コブラ〜!?」
「ヘビさんやで.ベロ出してにゅるにゅる〜って」
「こぶらとちがう,こぶた!」
「こぶた!」
「せやねんけど,ボケたんやで.あるいは『さんびきのゴリラ』にするか」
「ごりらとちがう,こぶた!」
「まあまあ.いちばん上のお兄さんゴリラは,藁で家を作り,さっそく息を吹きかけて,自分で藁の家を壊してしまいました〜.あかんやん!」
「なにそれパパおもしろいなあ!!」
「ほお,この種のボケに,うえの子が反応するとは」
ボケではなく今でいう天然ですが,小学校1年のとき,何かで「さんびきのぶた」「ジャックとまめるき」と書いて,兄や近所の人に大笑いされたことがあります.